2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659185
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴山 竜昭 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00303842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽賀 博典 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10252462)
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Keywords | 質量分析 / 癌 |
Research Abstract |
これまで、特にホルマリン固定された組織切片中のタンパク質を用いて質量分析を行うことは困難であるとされてきた。私たちは、今回実施した研究で、ホルマリン固定標本の癌組織を、複数個同時にスライドガラスに載せ、アセトニトリル・炭酸水素アンモニウム混合溶液で37度保温後、樹脂で組織の周りを囲み、さらにカバーガラスで覆った密閉空間で加圧、95度で煮沸する全く新しい前処理方法を開発した。これにより、ホルマリン固定標本上のタンパク質のイオン化効率が従来の方法の100倍程度に増加し、かつ非特異的なシグナルノイズが著しく軽減した。その結果、同様にホルマリン固定した正常組織との比較において、癌細胞の組織に発現量が高いタンパク質を数多く同定することに成功した。垣本、鶴山ら、Novel in situ pretreatment method for significantly enhancing the signal in MALDI-TOF MS of formalin-fixed paraffin-embedded tissue sections. PLoS One. 2012;7(8):e41607.)。この中で、ヒストンH2Aを癌マーカーとして同定した。また質量分析のシグナルの強さを組織上に重ね合わせることで、H2Aタンパク質の二次元分布を知ることができた。さらに免疫染色を行いヒストンH2Aの発現が、正常な部分の組織にくらべ癌細胞組織に強いことを確認できた。このように、すでに保管されている多くの病理組織アーカイブを用いて、新開発した前処理を行うことで、癌以外のさまざまな疾患のバイオマーカーを同定できる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)