2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659189
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
仁木 利郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (90198424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 大祐 自治医科大学, 医学部, 助教 (80415554)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 肺腺癌 |
Research Abstract |
微小乳頭癌 micropapillary carcinomaは,乳癌,肺腺癌において近年導入された新しい組織亜型である.微小乳頭癌成分を有する癌はリンパ管侵襲が強く予後不良であるが,微小乳頭癌の形態的基盤となる分子機構は未だ不明であり,有効な治療法は現在知られていない.本年度は,まず肺腺癌の培養細胞40株(ヒューマンサイエンス資源バンク,RIKEN Cell Bank,ATCCより購入)について,低付着性培養皿上で長期間(4ヶ月以上)培養し,微小乳頭癌のin vitro モデルの作製を行った.現在までの検討により,浮遊系で長期間培養可能な亜株19種類を得たが,うち15株において微小乳頭状の集塊形成が認められた.個細胞性,空洞形成を示すものもあったが,実際の微小乳頭癌の組織においても,同様な組織像がみられた.またセルブロックを作製し,MUC1の発現,局在を検討し,MUC1の縁取り像を確認している.次いで得られた細胞をNOD/SCID マウスの皮下に移植し,腫瘍形成能,腫瘍の組織像を検討中である.すでに一部の細胞株において微小乳頭状の形態を確認している.今後さらに,in vivo転移モデルの作製と微小乳頭癌に対する分子標的の同定を目指す.本研究により微小乳頭癌の分子標的を同定し,新たな分子標的療法を提案することができれば,形態診断がより密接に治療につながることとなり,病理診断学と臨床医学にもたらすインパクトは大きい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitro におけるモデルの作製はおおむね終了している。現在はin vivo での検証、モデル作製へと進んでおり、順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)微小乳頭癌のin vivo 転移モデルの作製: 微小乳頭癌のモデル株にluciferase発現レトロウイルスベクターをtransduction後,NOD/SCID マウスの左心室に1x106の癌細胞浮遊液を注射し,腫瘍形成をみる.イメージングだけではなく,病理組織標本も作製し組織像を確認する(2)微小乳頭癌の分子標的の同定: 転移を形成したモデル株については,順次DNAコピー数解析,mRNA発現プロファイル解析を行う.親株と亜株(モデル株)を比較し,亜株でコピー数の変化している遺伝子領域,発現の変化している遺伝子を同定する.(3)分子標的候補分子の検証: 同定された分子標的の候補について,肺腺癌と乳癌の切除検体における発現,変異をみる. また分子標的候補分子に対してレンチウイルスshRNA vectorによるノックダウンを行い,微小乳頭癌の形態を示す亜株の細胞増殖,アポトーシス,浸潤能に与える効果を検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、以下のような目的で使用する。(1)培養細胞を用いた実験に使用:細胞培養関連試薬(40万円)、遺伝子発現解析(20万円)、タンパク発現解析(20万円)、Transfection試薬(10万円)(2)In vivo の実験に使用:NOD/SCID mouse(30万円)(3)肺腺癌の組織を用いた解析に使用:遺伝子変異解析(20万円)、免疫染色関連試薬(15万円)
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Research Products
(5 results)