2012 Fiscal Year Annual Research Report
関節強直を規定する皮膚炎と関節強直の病態連携分子メカニズムの解明
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23659198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野 栄夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20302218)
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Keywords | 強直症 / 皮膚炎 / IL-17 / 疾患モデル / 治療実験 / 抗サイトカイン療法 |
Research Abstract |
本研究では、自然発症強直症モデルマウス(McC-ank)と、既存の乾癬性強直症モデルマウス(DBA1)マウスを用いて、強直症病態の遺伝的要因、性差の要因、病態発生の経時変化、抗IL-17抗体全身投与の治療有効性について、次の点を明らかにした。 (1)病態発生の経時変化として、初期に発赤を伴う足関節の腫脹とともに同部位の腱付着部、足底腱板下の浮腫性炎症が出現し、腫脹2週間後には同炎症部位に軟骨増殖性変化から軟骨内骨化、さらに2ヶ月後には関節強直が完成することが分かった。 (2)発症前McC-ankマウスに対して精巣摘除を施行し、経過観察を行ったところ、精巣摘除群では強直症発症を認めないことが分かった。 (3)以前の研究において、発症におけるY染色体の関与が示唆された。今回、McC-ankマウスのY染色体を戻し交配により入れ替えた個体を作出し、経過観察を行ったところ、従来のMcC-ankマウスの強直症発症頻度と違いがないことが分かった。 (4)強直症自然発症マウスDBA1に対して、抗IL-17抗体の全身投与を行った。その結果、本抗体の発症前投与と発症後投与に有意な発症抑制効果が認められた。 以上の結果より、強直症は関節腫脹後数週間後に骨化が始まり、数か月で関節強直が完成する病態進展が明らかとなった。さらに、ヒトでも見られる強直症罹患率の性差は精巣由来のホルモンによること、強直症の治療には抗IL-17抗体が有効であることが示唆された。
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