2011 Fiscal Year Research-status Report
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23659203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲葉 カヨ 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (00115792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 和彦 京都大学, 生命科学研究科, 講師 (90301233)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / サイズ効果 / マクロファージ / サイトカイン / ラテックスビーズ |
Research Abstract |
ナノ物質は様々な活性を有する材料であるが生物への影響は明確ではない。本研究では、細胞側に粒子サイズ依存的な応答経路が存在する可能性を検討した。 1.200 nm径のシリカをコンパクターにより、また微細シリカを粗シリカ水分散液を遠心(10,000 x g,10分)した上静より得た。これらの粒子サイズは動的散乱法にて測定した。次に、マウス骨髄細胞由来macrophages(BMDM)をLPS存在下で上記シリカで刺激したところ、双方共に炎症性サイトカインIL-1βの産生を誘導した。しかし、微細シリカのみで細胞内空胞の形成を観察した。次に、1,000 nm、100 nmおよび20 nm径のラテックスビーズ(LxB)でBMDMを刺激すると、1,000 nmおよび20 nm径LxBは共にIL-1βの産生を誘導したが、後者のみで空胞の形成が見られた。この過程で、100 nm径LxBはIL-1βの産生を誘導せず、1,000 nmおよび100 nm径LxBはエンドソーム内に、20 nm径LxBは主に細胞質内に存在することが明らかとなった。次に、LxBによるIL-1β産生に対する細胞外K+およびNLRP3欠失の影響を検討した。その結果、1,000 nmおよび20 nm径LxBによるIL-1β産生は共に顕著に低下した。続いて、IL-1βの産生には細胞内の活性酸素種(ROS)およびcathepsin Bが働くことが知られているので、これらに対する阻害剤の影響を検討した。その結果、ROS阻害剤N-acetyl cysteine(NAC)および cathepsin B阻害剤Ca-074-Meが、それぞれ1,000 nmおよび20 nm径LxBによるIL-1βの産生を各々阻害した。以上の結果より、BMDMはLxBに対してサイズ依存的なIL-1β産生経路を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ物質は微細であることに由来する様々な表面活性を有しており、広い分野での利用が期待される。しかし、応用にあたり生物への影響を検討することが不可欠である。ところが、細胞レベルにおけるナノ物質特有の効果、いわゆるナノ効果の実体は明確でない。本研究では、細胞側に粒子サイズ依存的な応答機構が存在する可能性について検討した。これにより、サイズ依存的な細胞側から見たナノ効果の実体を明らかにする事を目的としている。上記のために、サイズにより分級したシリカを調製し、同一素材でもその大きさによって細胞側の応答が異なる事を見出した。この現象を確認するために、サイズが正確なLxBを用いてシリカの結果を確認した。今のところ、20 nm径LxBで見られる細胞内空胞の由来・性質についてはdataが不足し、依然として不明な点が多いが、その他の実験計画書にある課題はほぼ遂行できた。これら23年度の研究結果より、BMDMのIL-1β産生に粒子のサイズに依存したcathepsin BおよびROS依存的経路が存在する事をほぼ確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1、IL-1β産生に加えてTNF-α他のサイトカイン産生へのLxBの影響を検討する。2、cathepsin B阻害剤が20 nm径LxBのIL-1β産生を阻害したことから、当該ビーズがBMDMにおいてcathepsin Bの食胞から細胞質への漏出を引き起こす可能性がある。そこで、1,000および20 nm径LxBで刺激したBMDMにおけるcathepsin Bの挙動を同蛍光基質を用いて検討する。また、Cathepsin B遺伝子欠失BMDMを用いて、20 nm径LxBのIL-1β産生における同酵素の重要性を確認する。3、1,000 nm径LxBによるIL-1β産生はROS阻害剤によって阻害できる。そこで、LxB刺激時の細胞内ROSの産生DHR-123を用いて測定する。また、ROS産生源としてミトコンドリアが考えられる。そこで、LxB刺激後のミトコンドリアの膜電位等を蛍光プローブを用いて検討する。4、オートファゴソーム欠損はTLR4刺激によるIL-1β産生に促進的に働く。そこで、LC-3-GFP融合遺伝子ノックインマウスBMDMに蛍光dextranを取り込ませた後にビーズ刺激し、小胞の細胞内トラフィッキングを蛍光顕微鏡にて経時的に観察する。5、上記の他に、ROSに応答しNLRP3活性化に働くTXNIPを欠損したマウス、予備的に20 nm径LxBの活性に関与するとの結果を得ているATPのレセプター阻害剤(Brilliant Blue G、Suramin等)の影響を検討する。6、以上より得られる結果を、肺胞 Mφおよびマイクログリアなど生体より調製した細胞で検討する。以上より、細胞に粒子サイズ依存的な応答経路が存在する事を示す。7、抗原となるOVAと各サイズのビーズをマウスに投与して、OT-IやOT-II等の特異的T細胞の活性化効率を検討し、アジュバント効果を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(試薬、プラスティック用品他)に800,000円、旅費に100,000円およびその他(論文発表費用等)に200,000円を予定している。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] GM-CSF-independent CD1a expression in epidermal Langerhans cells: evidence from human CD1A genome-transgenic mice2012
Author(s)
Kobayashi, C., Shiina, T., Tokioka, A., Hattori, Y., Komori, T., K o b a y a s h i-Miura, M., Takizawa, T., Takahara, K., Inaba, K., Inoko, H., Takeya, M., Dranoff, G. and Sugita, M
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Journal Title
J. Invest. Dermatol
Volume: 132
Pages: 241-244
DOI
Peer Reviewed
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