2011 Fiscal Year Research-status Report
化合物ライブラリーを用いたウイルスポリメラーゼの機能解析
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23659227
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹内 薫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00192162)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 化合物ライブラリー / インフルエンザウイルス / RNA依存性RNAポリメラーゼ / In silico 解析 / 抗ウイルス薬 / 分子生物学 / ゲノム複製 |
Research Abstract |
本研究の目的は、化合物ライブラリーからインフルエンザウイルスポリメラーゼを標的とした候補化合物を、我々が同定したウイルスポリメラーゼの結晶構造を用いてin silico解析によりスクリーニングし、感染実験および試験管内再構成系を用いて阻害化合物の詳細な作用メカニズムを明らかにすることである。 上記の目的のために、我々は変異ウイルスの作製法および感染阻害効果の評価系を確立し、数種類の候補化合物および野生型ウイルスと異なる阻害効果を示す変異ウイルスを単離した。本年度では、インフルエンザウイルスポリメラーゼ三量体(PB1、PB2、PA)のうち、PB1-PAおよびPB1-PB2の結合ドメインの結晶構造をもとにin silicoスクリーニングを行い、約300万種の化合物ライブラリーの中から約300種類の機能阻害候補化合物を選定した。これら候補化合物について、A型インフルエンザウイルス(A/WSN/33、H1N1)を用いたプラークアッセイ法により感染阻害効果の評価を行い、感染阻害効果を示す化合物を数種類得ることができた。また、リバースジェネティクス法により、ウイルスポリメラーゼにランダムに変異を導入した変異ウイルスライブラリーを作製した。これらの変異ウイルスを用いて、野生型ウイルスと同様に約300種類の候補化合物について感染阻害効果の評価を行った結果、野生型ウイルスと異なる阻害効果を示す化合物および変異ウイルスを単離することに成功した。このウイルスは複数の変異を含むため、現在、点変異ウイルスを作製し、責任変異の同定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルスポリメラーゼの結合ドメインを標的としたin silico解析により得られた候補化合物の中から、感染阻害効果を示す化合物を得ることに成功している。また、ウイルスポリメラーゼの変異ウイルスライブラリーを作製し、候補化合物に対して野生型ウイルスと相反する感受性を示す変異ウイルスの単離に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られた野生型ウイルスと異なる阻害効果を示す変異ウイルスについて責任変異の同定を行うと同時に、野生型ウイルスと相反する感染阻害効果を示した変異ウイルスついて詳細な作用メカニズムを解析する。先行研究により、ウイルスポリメラーゼ複合体形成に関与するドメインは、複合体形成能のみならずRNA合成活性を制御する機能をもつと推測されている。そこで、これまでに選定した候補化合物が、ウイルスポリメラーゼに結合することでポリメラーゼ複合体形成を実際に阻害しているのか、もしくは複合体形成能を維持しつつRNA合成活性のみを阻害しているのかについて、試験管内ウイルスゲノム複製・転写反応の再構成系およびウイルスRNP複合体形成の再構成系を用いて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、ウイルスの作製および感染実験において培養細胞を用いるため、ウシ血清および消耗品費が必要となる。また、試験管内ウイルスゲノム複製・転写反応の再構成系を用いた生化学的解析では、RNA合成活性の測定等に用いる放射性同位体が必要となる。さらに、本研究成果の学会発表に伴う渡航費および論文投稿料も研究費に計上している
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