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2011 Fiscal Year Research-status Report

ウエストナイルウイルス感染における脳内浸潤T細胞による病態形成機序

Research Project

Project/Area Number 23659237
Research InstitutionNational Institute of Infectious Diseases

Principal Investigator

倉根 一郎  国立感染症研究所, その他部局等, 副所長 (90278656)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 鈴木 隆二  独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 診断・治療研究室, 室長 (70373470)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsウイルス / 感染症 / 微生物 / 脳・神経 / 免疫学
Research Abstract

本研究は、ウエストナイルウイルス(WNV)感染マウスモデルを用いて、脳炎発症時の脳内におけるT細胞の抗原特異性および免疫学的挙動について解明することを目的として以下の研究を遂行した。WNVと抗体レベルで交差反応が認められと言われている近縁関係にある日本脳炎ウイルス(JEV)を感染させたマウスにおいて脳内に浸潤したT細胞とWNVのそれとについて特異性と交差性を検討した。WNVおよびJEV感染後に脳内に浸潤したT細胞の特異性の検討は、(1)TCRレパトアの網羅的解析、(2)in vitroにおけるWNVおよびJEVに対する交差反応性の評価について詳細に解析を行った。その結果、WNV、JEV間で、脳内浸潤T細胞はクローンレベル(TCRレパトア解析、CDR3クロノタイピング)で異なる事が明らかとなり、さらに近縁ウイルスの感染により誘導されるT細胞についてIFNγ産生能を指標とした交差反応性においても交差性は全く確認されなかった。これらWNV特異的T細胞に関して、免疫学的性状を詳細に評価するため、WNV感染後の脳内浸潤T細胞をCD4およびCD8の分画に分離し、WNVおよびJEV感染腹腔細胞との共培養を行いIFNγおよびTNFα産生を指標として反応性を測定した。その結果、WNV脳内浸潤CD8T細胞とWNV感染腹腔細胞の共培養においてのみ、INFγおよびTNFαの産生誘導が惹起された。以上の結果はWNV感染時の初期の局所では感染細胞を排除するために細胞障害性T細胞が展開されている事が蛋白レベルでも示唆された。この知見は、WNV特異的T細胞の抗原特異性に関する新規情報を示したに止まらず、ワクチン開発における基礎的知見を提供するに繋がると考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前年度の検討結果において確認されたin vitroにおけるT細胞によるINFγおよびTNFα産生誘導能の惹起はWNVおよびJEV間で全く交差反応性は認められなかった。さらに、IFNγおよびTNFα誘導能を有するWNV特異的T細胞はCD8陽性T細胞に限局していたことから、WNV初回感染時の初期過程の局所では、感染細胞を排除するために細胞障害性T細胞が展開している可能を示唆した。本研究結果は、並行して行われたリアルタイムPCRの結果とも相関しており、WNV感染で脳内に誘導浸潤したT細胞はTh1/Tc1タイプであることを、蛋白レベルで確認したものと考えている。この結果からT細胞によって認識されるウイルスのエピトープはウイルス間(WNVとJEV)で全く異なることが示唆された。免疫賦活効果および特性を有するワクチンをデザインするためには、それぞれのウイルスに特徴的なエピトープの探索が必要であることも示唆した。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、脳炎を発症したマウスから、脳内浸潤T細胞クローンを樹立する。抗原刺激により活性化したT細胞のクローナリティーは高いものと推測されるが、TCRの各Vセグメントに対する抗体を吸着させたmagnetic beadsを利用して、TCRレパートリー解析によって特定されたV遺伝子を有するT細胞を抽出することも考慮する。次に,樹立した各クローンのTCRα鎖及びβ鎖の発現型を確認し、ライブラリにおいて発現頻度の高かったTCR発現型を有するクローンを選び出す。このT細胞クローンに対して,in vivo解析としてWNV感染マウスに移入し、脳炎の症状に変化が現れるか否か,改善するのか増悪するのかを免疫学的所見及び病理組織学的所見を踏まえて評価する。T細胞クローン移入による症状の軽重判断が円滑に進まない場合は以下の方法を検討する。まず,正常マウスの末梢血リンパ球を採取し、TCRの各Vセグメントに対する抗体を吸着させたmagnetic beadsを利用して、特定のV遺伝子を発現しているリンパ球を除去する。残りのリンパ球をSCIDマウスに移入すれば、特定のTCR Vファミリーのみを欠落したマウスが得られるため,このマウスにWNVを接種して症状の軽重を観察することにより、特定のTCR Vファミリーを有するT細胞がWNVの病態に果たす役割を反証的に検討することができると考えられる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度 物品費800,000 旅費70,000 人件費・謝金0 その他30,000 計900,000

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] High Clonality of Virus-Specific T Lymphocytes Defined by TCR Usage in the Brains of Mice Infected with West Nile Virus2011

    • Author(s)
      Kazutaka Kitaura,Yoshiki Fujii,Daisuke Hayasaka,Takaji Matsutani,Kenji Shirai,Noriyo Nagata,Chang-Kweng Lim,Satsuki Suzuki,Tomohiko Takasaki,Ryuji Suzuki and Ichiro Kurane
    • Journal Title

      The Journal of Immunology

      Volume: 187 Pages: 3919-3930

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1100442

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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