2011 Fiscal Year Research-status Report
クロスプライミング機能に関与する樹状細胞の動態及び機能的意義の解明
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23659245
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
改正 恒康 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 寄附研究部門教授 (60224325)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / クロスプライミング / 免疫応答 / ノックイン |
Research Abstract |
樹状細胞は免疫応答に必須の抗原提示細胞であるが、いくつかの機能的に特化したサブセットにより構成されている。CD8α陽性樹状細胞(CD8+cDC)は、死滅した細胞を取り込む能力が高く、抗ウイルス免疫、抗がん免疫に重要なクロスプライミング機能を担う樹状細胞サブセットであると考えられている。しかし、その生体内での動態、機能的意義については不明の部分が多い。本研究では、CD8+cDC特異的に発現するケモカイン受容体Xcr1の遺伝子座に種々の遺伝子をノックインしたマウスを作成、解析することにより、CD8+cDCの動態、機能的意義の解明を行う。Xcr1-venusマウスを用いて、脾臓、胸腺、リンパ節、パイエル板などのリンパ組織、皮膚、腸管粘膜などの末梢組織において、venus陽性細胞集団の表現型解析、免疫組織学的解析を行う。また、Xcr-Kikumeマウスにおいては、特に生体内の移動を観察できるという利点を生かす。たとえば、皮膚に近紫外線照射後の所属リンパ節において、元々所属リンパ節に存在した集団と末梢組織(皮膚)から遊走した集団を区別して解析する。このマウスを用いて、種々の免疫応答におけるXCR1陽性細胞の動向を追跡する。さらに、Xcr1-DTRマウスにおいては、ジフテリアトキシン投与後、Xcr1-DTAマウスにおいては、恒常的にXCR1陽性細胞を欠失させることができる。このマウスを用いて、Xcr1陽性細胞の機能的意義を、種々の免疫応答、疾患モデルにて明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)XCR1陽性樹状細胞の分布、動態の解析Xcr1遺伝子座へvenus遺伝子をノックインしたマウス(Xcr1-venusマウス)を用いて、種々のリンパ組織、末梢組織における、venus陽性細胞集団の表現型解析を行った。また、Xcr1遺伝子座へKikume遺伝子をノックインしたマウス(Xcr1-Kikumeマウス)を作成した。このマウスでは、近紫外線照射により変色する蛍光物質の特性を指標に、各臓器におけるXcr1陽性細胞の移動を追跡できる。これらのマウスで、二光子レーザー顕微鏡の条件検討も進めた。(2)XCR1陽性樹状細胞欠失マウスの解析 Xcr1遺伝子座へジフテリアトキシン受容体遺伝子をノックインしたマウス(Xcr1-DTRマウス)を作成した。このマウスでは、期待通りに、CD8+cDCが欠失した。また、Xcr1遺伝子座にcreレコンビナーゼ遺伝子をノックインしたマウス(Xcr1-creマウス)と、creが作用することによりジフテリアトキシンAサブユニットが発現するように作成された遺伝子改変マウス(ROSA-loxP-STOP-loxP-DTAマウス)とを交配させることにより、CD8+cDCを恒常的に欠失するマウス(Xcr1-cre-DTAマウス)を樹立した。このマウスにおいてもCD8+cDCの特異的欠失が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)XCR1陽性樹状細胞の分布、動態の解析Xcr1-venusマウスにおいては、Venus陽性細胞の表現型解析に加えて、免疫組織学的にその局在を各臓器で検討する。また、種々の免疫アジュバントを用いた免疫応答の際にその局在がどう変化するか検討する。Xcr1-Kikumeマウスにおいては、リンパ節、皮膚、腸管などに存在したXcr1陽性細胞が定常状態、あるいは免疫応答時にどのように移動するか検討を行う。免疫応答を観察する実験系としては、免疫アジュバントばかりでなく、腫瘍接種、ウイルス感染、細菌感染の実験系もセットアップする。(2)Xcr1-DTRマウス、Xcr1-DTAマウスを用いて、種々の免疫応答におけるXcr1陽性細胞の機能的意義を明らかにする。(1)で述べたように、免疫応答を観察する実験系としては、免疫アジュバントばかりでなく、腫瘍接種、ウイルス感染、細菌感染の実験系もセットアップする。また、疾患モデルとしては、TLR7リガンド(イミキモッド)塗布による皮膚乾癬誘発モデル、多発性筋炎モデル、プリスタン投与による自己免疫疾患モデル、高脂肪食摂取による肥満誘発モデルなどを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交配、実験に使用するマウスを購入する。マウスから樹状細胞を調製する際には、FACS AriaIIを用いたソーティング、あるいは磁気によるソーティングが必要になる。そのための蛍光標識抗体、磁気ビーズ標識抗体を購入する。調製した樹状細胞からの各種サイトカインを測定するためのELISAを購入する。また、免疫組織染色のために必要な抗体、試薬を購入する。さらに、マウスに投与する免疫アジュバント、抗原、疾患誘発試薬も購入する。得られた成果を学会で発表するために、ポスター作成、旅費も必要である。
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[Journal Article] Treml4, an Ig Superfamily Member, Mediates Presentation of Several Antigens to T Cells In Vivo, Including Protective Immunity to HER2 Protein2012
Author(s)
H. Hemmi, N. Zaidi, B. Wang, I. Matos, C. Fiorese, A. Lubkin, L. Zbytnuik, K. Suda, K. Zhang, M. Noda, T. Kaisho, R. M. Steinman, J. Idoyaga
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Journal Title
J. Immunol
Volume: 188
Pages: 1147-1155
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Plasmacytoid dendritic cells are crucial for the initiation of inflammation and T cell immunity in vivo2011
Author(s)
H. Takagi, T. Fukaya, K. Eizumi, Y. Sato, K. Sato, A. Shibazaki, H. Otsuka, A. Hijikata, T. Watanabe, O. Ohara, T. Kaisho, B. Malissen, K. Sato.
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Journal Title
Immunity
Volume: 35
Pages: 958-971
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] TLR3を介した乳酸菌2本鎖RNAのIFN-β産生誘導/Double-stranded RNA of lactic acid bacteria triggers TLR3-mediated IFN- production by dendritic cells2011
Author(s)
7.T. Kawashima, H. Yan, Z. Guo, R. Uchiyama, J. Carreras, T. Kaisho, O. Takeuchi, S. Akira, H. Tsutsui, T. Saito, I. Nishimura, N. Tsuji
Organizer
第40回日本免疫学会総会
Place of Presentation
幕張メッセ(千葉県)
Year and Date
2011.11.27-29
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