2013 Fiscal Year Annual Research Report
脱分化型胸腺上皮細胞株を用いた自己・非自己識別制御の解析とその検証
Project/Area Number |
23659246
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
笠井 道之 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 学術研究員 (10194705)
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Keywords | 胸腺上皮細胞株 / 胸腺皮質上皮細胞 / 胸腺髄質上皮細胞 / 胸腺微小環境 / MHC複合体 / 自己抗原 / 自己ペプチド |
Research Abstract |
胸腺内における未熟T細胞は、その膜上のT細胞受容体と胸腺を構成する皮質および髄質上皮細胞膜上の自己抗原分子由来ペプチド+MHC分子複合体との相互作用により分化・選択の制御を受け、MHC拘束性と自己寛容性を獲得したT細胞へと成熟する。しかし、このような重要な複合体であるにもかかわらず、複合体形成と提示を制御する分子機構に対する理解はいまだ不十分である。23年度は胎仔胸腺上皮から単層培養法で樹立した複数の胸腺上皮細胞株の分化・選択過程に関与する機能性分子のmRNAおよびタンパク質の発現程度を調べた。その結果、いずれの細胞株もそのような分子をほとんど発現していなかった。ところで、凝集培養が胸腺上皮細胞内の機能分子の発現の維持に有効であることは多くの研究者により示されている(G. Anderson, 1993)。そこで、24年度は、胎児胸腺から消化酵素で一度分散した上皮細胞を浮遊状態と凝集状態で一定期間培養した後の機能性分子発現程度を調べた。浮遊状態ではその発現は30分以内に急速に減少し、その後発現を失った。一方、凝集培養した場合は機能性分子の発現減少は培養開始時の1/3~1/5程度であり、培養を継続しても培養開始時とほぼ同程度の発現量を維持していた。特に、胸腺上皮細胞が発生・分化する上で必須のFoxN1の発現がよく維持されていた。25年度はテトラサイクリン誘導体の有無でFoxN1発現制御可能な胸腺上皮細胞株を胎生15日目の胸腺ストローマ細胞と凝集共培養した後、サイモプロテアソームサブユニットbeta5t欠損マウスの腎臓被膜化に移植し、その胸腺上皮細胞株の胸腺再構築能力を調べたが、この細胞株にはそのような能力を見出すことができなかった。今後は、FoxN1を恒常的に発現する胸腺上皮細胞株を作成し、胸腺船再構成能力と自己ペプチドとMHC分子複合体の発現制御を調べる予定である。
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Research Products
(3 results)