2011 Fiscal Year Research-status Report
アレルギーおよび非感染性炎症の時空間的制御と植物由来化合物による調節
Project/Area Number |
23659247
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Research Institution | Toyama Prefectural Institute. for Pharmaceutical Research. |
Principal Investigator |
高津 聖志 富山県薬事研究所, その他部局等, 所長 (10107055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 良憲 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30431761)
松永 孝之 富山県薬事研究所, その他部局等, 主幹研究員 (30121289)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 自然免疫 / 非感染性慢性炎症 / TLR / 天然物 / アレルギー / 肥満 / 糖尿病 / IL-5 |
Research Abstract |
本研究は、アレルギーや非感染性慢性炎症反応に関与する細胞や分子・遺伝子の時空間的な制御を明らかにすること、免疫応答や炎症反応を調節し得る植物由来天然化合物を探索し創薬シーズを見出すことを目標とし、 23年度の計画として、1.免疫応答と非感染性慢性炎症の時空間的制御の解析、2.免疫制御のin vitro評価系を利用した有用シーズの探索を行った。1.IL-5-venusノックインマウスを作出することに成功し、恒常的にIL-5を産生する原始IL-5産生細胞を同定した。アレルギーの誘発因子のIL-33をIL-5-Venusノックインマウスに投与したところ、肺において原始IL-5産生細胞と好酸球が顕著に増殖することを見出した。また、高脂肪食摂餌によるマウス肥満モデルにおいて、脂肪組織におけるTLRファミリー分子RP105の発現が10倍以上に増加することを見出した。2.の有用シーズの探索では、(1)IL-5-Venusノックインマウス由来T細胞を用いたin vitro評価系を確立し、IL-5産生を抑制する化合物を見出した。この化合物はB細胞のIgE産生も抑制することから、アレルギーに対する医薬品シーズとしての展開が期待できる。(2)Th1依存性の抗原提示細胞(APC) 活性化による交叉提示能評価系を用い1,500種類以上の化合物を調べた結果、PKC活性を持つ複数の天然薬物がTh1依存性に抗原交叉提示を増強することを見出した。これらの天然薬物がin vivoでもTh1依存性抗原交叉提示を増強することを確かめた。現在、PKC活性が天然物による抗原交叉提示の増強に重要であるかどうかについて検討中である。(3)IL-1βによるヒト株化細胞の細胞死を抑制するフラボン類などの複数の天然薬物を見出した。現在、糖尿病誘発モデルマウスを用いて、これら天然薬物のin vivo での効果を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は以下の2点である。1.免疫ネットワークの時空間的な調節機構を明らかにし、アレルギーや炎症の制御および破綻の分子機構を解析し、慢性炎症性疾患の発症に関与するバイオマーカーを確立する。それにより炎症の発症と慢性化の予防法の開発に寄与する。2.アレルギーや非感染性炎症を制御する薬物の試験管内評価系を利用し、有用な植物由来化合物を探索するとともに、生体内での動態と有効性や作用機序を既知の医療用医薬品と比較する。 23年度の研究は、計画通り進捗している。1.に関しては、非感染性慢性炎症状態である肥満に関係するバイオマーカーの発見など成果をあげている。2.についても独自の評価系でアレルギーを制御し得る候補化合物を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、研究が当初の計画通り進捗していることから、交付申請時に記載した計画通り24年度の研究を行う。 23年度の予算のうち63、190円が次年度使用額であるが、「IL-1βによる膵臓β細胞のアポトーシスを抑制する化合物の探索研究」については、当初から23-24年度と2年間継続して行う予定のため24年度請求額と合わせて使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は23年度の成果を踏まえ、以下の2点を中心に研究を行う。1.自然免疫を制御する化合物の探索:(1)マクロファージ細胞株をLPS刺激し、TNF-αやIL-6など炎症性サイトカインの産生をELISA法により検討する。また、NF-κBの活性化をGFPの発現で評価できるレポーター遺伝子導入細胞を利用して評価する細胞系を樹立し、LPSによる炎症を抑制する植物由来化合物を探索する。(2)マウスのLPS誘発敗血症モデルを利用し 、in vivo で候補化合物がLPSにより誘発されるIL-6、 TNF-αの産生を抑制してショック死を抑制できるか調べる。2.非感染性炎症を制御する化合物の探索:(1)ヒト由来株化細胞を用い、細胞毒性を示さない濃度でIL-1βによるアポトーシス誘導を抑制する天然物の探索は、平成24年度も継続する。(2)糖尿病誘発モデルマウスを利用し、IL-1βによる膵臓β細胞のアポトーシスを抑制する化合物のin vivoでの 評価をする。
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[Journal Article] Identification of innate IL-5-producing cells and their role in lung eosinophil regulation and antitumor immunity.2012
Author(s)
Ikutani M, Yanagibashi T, Ogasawara M, Tsuneyama K, Yamamoto S, Hattori Y, Kouro T, Itakura A, Nagai Y, Takaki S, Takatsu K
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Journal Title
J. Immunol.
Volume: 188
Pages: 703-713
DOI
Peer Reviewed
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