2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659253
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
後藤 由和 金沢大学, 大学病院, 講師 (60282167)
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Keywords | 院外心停止 / 心肺蘇生 / 蘇生中止 / 重症度評価 |
Research Abstract |
近年, 救急隊のための院外心停止傷病者の不搬送基準が欧米で運用されている. しかし, 我が国では明らかな死亡例を除き,救急隊による心停止傷病者の蘇生中止は法律で禁止されている. 今後想定される高齢者の院外心停止例の増加と医療資源の有効活用に寄与する目的で本研究が行われた. 消防庁の集計した心停止傷病者搬送記録データ(2005-2011年, 797,422例)を用いて、観察研究を行った.最終年度では、過去2年間の研究期間に行った(1)-(4)の研究成果の論文作成と(5)の研究および論文作成を行った。(1)内因性院外心停止を対象とした, 病院前の4因子(初期心電図、年齢、目撃の有無、救急隊目撃の有無)を用いた予後予測決定木モデルの作成.(2)院外エピネフリン投与と1カ月後生存との関係について.(3)院外心停止例の治療にあたる救急医が活用できる蘇生中止基準の作成.(4)院外心停止の予後予測で最も重要な因子である「病院前自己心拍再開」がない症例の予後を決定する因子の解明.(5)18歳未満の小児院外心停止例における, 消防指令が行った口頭指導の傍観者蘇生処置実施割合に与える影響と、その口頭指導の内容の違い(胸骨圧迫単独の蘇生方法と従来式の胸骨圧迫と人工呼吸法の組み合わせによる蘇生方法の比較)が、神経学的予後に与える影響について. 以上, 院外心停止不搬送基準を作成する上で重要となる予後決定因子の分析を小児(18歳未満)と大人(18歳以上)に区別して行ったが, 最終的に「自己心拍非再開」, 「非除細動の初期心電図」, 「目撃なし」の病院前3因子に「救急隊現場活動時間」を設定することが, 救急隊が判断する「院外心停止傷病不搬送基準」として望ましいと考えられた. 実際の臨床現場で具体的な現場活動時間の設定には前向き研究が必要であり, 今後の課題としたい.
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