2012 Fiscal Year Research-status Report
医療安全文化醸成度の可視的指標の開発と検証に関する研究
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23659260
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
廣瀬 昌博 島根大学, 医学部, 准教授 (30359806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今中 雄一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10256919)
兼児 敏浩 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30362346)
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Keywords | リスクマネジメント / 医療安全文化 / 醸成度 / 可視的指標 / 医療従事医者 / Lag time |
Research Abstract |
平成24年度は、次の点について明らかにした。 全国23病院の職員11,417名(有効データ)に対して米国医療安全機関AHRQの日本版医療安全文化測定調査票による質問調査を実施した。質問項目は、医療安全に関連した意識、態度、環境等についての44項目で、「コミュニケーション」、「組織の取組・理解」、「教育・訓練」3領域12因子から構成される。平成23年度調査有効データ(5,118名)と比較すると全体の肯定的回答率は、僅かに平成24年度調査が上回った。平成23年度調査および平成24年度調査について、12因子(全体)平均では、それぞれ49.2%および51.9%、「コミュニケーション」では、50.2%および52.9%、「組織の取組み・理解」44.4%および47.7%、教育・訓練(第7因子)では53.2%および55.5%、報告数(第3因子)では64.0%および64.2%であった。また、第9因子人員配置はそれぞれ28.0%および30.5%で12因子のうちでもっとも低く、米国Sorraらの調査より約25%の差を認め、医療安全には十分な人員配置が必要であることが示唆された。 一方、A病院について、1,915名の職員の医療安全文化測定とともに直近のインシデントレポートのLag timeを算出し、医師と看護師について比較検討した。職員数、有効回答者数(回答率)、12因子の平均およびLag timeについて、医師:看護師は、235名:893名、85名:824名(36.2%:92.3%)、51.2%:49.2%、および6.6±11.7日:1.3±3.9日であった。この結果から、医療安全文化醸成度は医師の方が2.0%高く、Lag timeは5.3日長い。一般に医師の方が看護師より医療安全に対して関心が薄いとされ、われわれの予想と異なる結果となった。しかし、これには有効回答率が関係していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医療安全文化測定は23年度13病院24年度22病院全35病院16,535名(有効データ)を対象に行われ、医療安全文化の醸成度を示す12因子の肯定的回答率の平均値は、それぞれ49.2%および51.9%で大差はない。しかし、A病院で職種別にみると医師および看護師の平均肯定的回答率は医師の方が高いことが示されるなど、医療安全文化醸成度に関する成果があらわれつつある。その一方で、インシデントレポートから算出されるLag timeの提供は期待以上には進んでいない。それは、インシデントレポートに関するconfidentialityの問題であることから、医療安全文化測定病院に直接出かけるなどして、Lag timeに関するデータ収集に努力する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、医療安全文化醸成度について、医師の肯定的回答率が看護師よりも高いことが示された。この結果は、一般に医師は看護師より医療安全に対する関心が薄いと云うことと異なる結果であるが、これはそれぞれの職種の回答率との関連が示唆られる。最終年度は、以上のことなどを考慮して医療安全文化に関する12因子とLag timeの関係を明らかにするとともに、Lag timeが医療安全文化を示す指標として有用かつ有効で、日常の医療安全活動に資することができるように証明したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費 100,000円 (文献購入 50,000円、用紙代 50,000円) 旅費 300,000円 (会議 150,000円、成果発表 435,811円) その他 100,000円 (通信費 20,000円、印刷費 40,000円、複写費 40,000円) 計785,811円(平成24年度分285,811円を含む) なお、平成24年度執行予定であった285,811円について、執行予定の会議および成果発表の日程と大学行事等が重なり、執行することができなかったので、平成25年度に繰り越した。
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Research Products
(3 results)