2011 Fiscal Year Research-status Report
電子レセプトによる高齢者の社会的入院の実態解明に関する研究
Project/Area Number |
23659261
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場園 明 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90228685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 一彰 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20402886)
永野 純 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10325483)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 電子レセプト / 社会的入院 / 平均在院日数 / 医療費 |
Research Abstract |
福岡県において平成21年度に入院した高齢者の電子レセプトを同定し、データベースを作成し、前期・後期高齢者別、病床別に医療指標を比較した。なお、入院中に病床を転床している症例は「転床」と定義した。 高齢者の入院件数は147,358件、前期高齢者が40,180件、後期高齢者が107,178件であった。前期高齢者では、男性が21,390件(53.2%)、女性が18,790件(46.8%)、後期高齢者では男性が40,650件(53.2%)、女性が66,528件(46.8%)であった。前期高齢者平均入院日数は、一般病床が22.2、療養病床が171.2、精神病床が203.8、転床が120.5、後期高齢者の病床別では、一般病床が26.6、療養病床が155.6、精神病床が177.0、転床が118.9であった。前期高齢者の入院医療費は、一般病床が823,361円、療養病床が3,055,795円、精神病床が2,817,901円、転床が2,564,490円、後期高齢者の入院医療費は、一般病床が808,079円、療養病床が2,643,786円、精神病床が2,548,618円、転床が2,398,935円であった。前期高齢者の1日あたり入院医療費は、一般病床が48,225円、療養病床が18,117円、精神病床が15,193円、転床が22,196円、後期高齢者の1日あたり入院医療費は、一般病床が37,992円、療養病床が17,399円、精神病床が16,230円、転床が21,351円であった。療養病床、精神病床、転床は、一般病床よりも1日あたり入院医療費は低いものの、入院日数が長いため、入院医療費は高くなっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福岡県において平成21年度に入院した高齢者の電子レセプトを同定し、データベースを作成し、前期・後期高齢者別、病床別に医療指標を比較できている。また。病床別に、医療費が基本診療料、医学管理等、在宅医療、投薬、注射、検査、病理診断、処置、手術、麻酔、画像診断、リハビリテーション、精神科専門療法、放射線治療、薬剤、特定医療材料、食事療養のいずれに使われているかについて明らかにするためのデータベースも完成している。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースのなかで最も新しいレセプトを用いて、入院年月日より、6ヶ月以上入院している患者を同定し、前期・後期高齢者別、医療機関別、医療圏別、病床別に比較する。 次に、平成21年度において延べ6ヶ月以上入院している患者を同定し、前期・後期高齢者別、医療機関別、医療圏別、病床別に比較する。また、高齢者の医療費が、基本診療料、医学管理等、在宅医療、投薬、注射、検査、病理診断、処置、手術、麻酔、画像診断、リハビリテーション、精神科専門療法、放射線治療、薬剤、特定医療材料、食事療養のいずれに使われているかを前期・後期高齢者別、医療機関別、医療圏別、病床別に比較する。 さらに、「注射」、「検査・病理」、「処置」、「手術・麻酔」、「画像診断」、「リハビリテーション」、「精神科専門療法」による医療費が全医療費の一定レベル(10%と20%の2段階)に満たない患者を同定し、前期・後期高齢者別、医療機関別、医療圏別、病床別に比較する。 最後に、社会的入院に原因となりやすいという脳卒中について分析を進める。平成21年4月の高齢者の入院レセプトで、主傷病のICD10コードがI60-I69かつ診断群分類定義テーブルで対応のある手術、ガンマナイフによる定位放射線治療の実施、またはtPA、エダラボンの投与が行われた者を同定し、その入院年月日が平成21年度であることを確認して、平成21年4月の急性期の脳卒中の患者と定義する。その患者の年度内のレセプトを1年間連結する。地域連携診療計画退院時指導、早期リハビリテーションの実施の有無を摘要情報から調べ、それらの要因が入院日数、1年間の入院医療費に関係しているかどうかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アルバイトを雇用し、データベースの構築と修正を継続的に行っていく。また、電子レセプトのデータは莫大であるために、ハードデイスクを新規に購入し、対応を行う。 また、統計解析においても学生アルバイトを雇用して、作業を進める予定である。 さらに、日本医療病院管理学会や日本公衆衛生学会に参加して情報収集を行う。
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