2011 Fiscal Year Research-status Report
合意形成サブシステムを導入した臨床推論学習教材・共有システムの開発研究
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23659270
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
大滝 純司 東京医科大学, 医学部, その他 (20176910)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 医学教育 / 臨床医学 / 臨床推論 / 教材開発 / 合意形成 / システム開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、作成が困難とされてきた臨床推論の教材を指導医の合意形成を促しながらインターネット上で作成し、その成果物を共有化することにある。平成23年度は、システムの基本構造の検討をおこなった。(1) 臨床推論の教材に必要な要素の明確化:臨床推論の指導にくわしい臨床指導医(京都大学 錦織宏准教授(連携研究者)、九州大学 菊川誠助教、北海道大学 川畑秀伸 助教、福知山市民病院 川島篤志 医長、ほか)による作業班を組織した。臨床推論の理論、学習、指導などに関する文献や資料を収集し、医学生や研修医が臨床推論を学ぶ教材に必要な要素を検討した。その結果、臨床推論の初学者である学生や研修医が学ぶ教材は、いわゆる「仮説演繹法」を基本とした構造が妥当であり、さまざまな症候や状況に関する教材を、同様の構造で作成し提供することが有効である可能性が示唆された。(2) 意見集約に必要な機能の明確化:デルファイ法など合意形成の手法に関する文献や資料を収集し検討した。それらをもとに、指導医の意見を集約して教材を作成するのに必要な機能を検討した結果、インターネットなどを経由した簡便なアクセス、匿名化、汎用ソフトによる電子ファイルの添付や掲示、安全で安定した動作、低廉な経費、幹事役による情報管理、などの機能が重要であることが明らかになった。(3) 教材作成システムの基本構造設計の開始:情報ネットワークサービスを提供する組織(複数)に上記を提案し、提供できる機能を提示してもらい、上記の(1) (2) を踏まえて本研究での利用について検討した。仮に選定した情報ネットワークサービスを使用して、教材作成システムの基本構造の設計を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定していた、(1)臨床推論の教材に必要な要素の明確化、(2)意見集約に必要な機能の明確化、(3)教材作成システムの基本構造設計の開始、のいずれについても、実現することができた。研究協力者との打ち合わせや、情報ネットワークサービスの検討の大半はねインターネットを利用して行うことができ、試験的に使用した情報ネットワークサービスの経費も、当初の予定よりも低額に抑制することができたため、研究費を節約することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、教材作成システムの試作と試験的運用を行う。まず、前年度の研究成果をもとに(1)利用する情報ネットワークの選定を行い、(2)試作版の開発を開始する。この段階で作業班の構成を見直す。つづいて、(3)開発した教材作成システム(試作版)の試験的運用を行う。これらの研究活動について(4)研究成果の中間報告をまとめ、関連学会などに発表するための作業も進める 平成25年度は、教材作成システムの継続的な改良を行い、成果物の公開とさらなる展開を図る。前年度に引き続き(1)教材作成システムの継続的な改良を行うとともに、作業班の構成をさらに見直す。最終年度であり、当研究の(2)成果物の公開と共有化を関連学会やインターネットを利用して行う。また、(3)この教材作成システムに対する意見や要望の収集もインターネットを通じて行う方策を検討する。さらに、(4)臨床推論のための教材以外の教材作成に応用する方策も検討する。開発したシステムの英語版の作成など、(5)海外への発信も図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
作業班の構成員の見直しに伴い、打ち合わせなどにかかる旅費が増加する可能性がある。教材作成が本格化するにつれて、資料整理などの作業量が増して人件費や謝金が増加することも想定される。情報ネットワークサービスシステムの利用に関する費用は使用する機能の内容と量により増減するが、前年度からの繰り越しを有効に利用して、予算内に収められると考えている。
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Research Products
(5 results)