2011 Fiscal Year Research-status Report
多臓器不全に至る全身性炎症反応症候群モデルマウスの樹立と治療法の探索
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23659280
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
粕谷 善俊 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70221877)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | SIRS / p38 / トランスジェニック / モデルマウス / CLP |
Research Abstract |
本年度は、全身性にp38の活性化を促し、サイトカインストームに準じたSIRSモデルマウスを樹立するために必要となる以下の2種類のトランスジェニック(TG)マウスの作出を目的とした。1)TRE-MKK6c.a./tTS/TG:Dox-rtTA(ドキシサイクリン-Tet受容体)複合体に応答して、p38を特異的に活性化させるMKK6c.a.を産生させるTGマウスであり、すでに1ラインを有していたが、よりコピー数の多い個体を得るべく、さらにTGマウスの作出を行い、付加的に10ラインを得た。これらのTGマウスをコピー数により4群に分別した。2)CAG-rtTA/TG:全身性にTet受容体を発現するTGマウスであり、Doxの飲水により、転写因子として機能し得るDox-Tet受容体複合体を形成する。本マウスも1ライン作出し、ウェスタンブロット解析から、少なくとも脳、心臓、肺にTet受容体の発現が確認できた。 この実験計画に加え、腹膜炎からSIRSにいたる、盲腸結紮穿刺(cecal ligation and puncture:CLP)モデルに、野生型(WT)マウスをおよびp38α-ノックアウト(KO)マウス(homozygoteはembryonic-lethalであるため、+/-マウス)を供し、検討した。p38α-KOマウスではsurvival rateがWTマウスに比べて良好であること、また、2つのgenotype間で、末梢血中におけるいくつかのサイトカインおよびアディポカインの発現に明らかな差を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度のトランスジェニックマウスの作出という目的は100%達成しているが、作出したマウスが研究目的に沿う挙動を見せなければ、病態解析のツールとしては使用できないという側面がある。したがって、その確定が出来た時点で大目的を満たすと考える。しかしながら、付加的にp38α-KOマウスを用いて行ったCLPモデルでの実験により、少なくともp38をSIRS発症の対象におく事にreliabilityがあることは確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、上述の両TGマウスを掛け合わせtriple TGマウスを作出し、Dox飲水後の、レポーター遺伝子の発現頻度と臓器障害の相関、WBアレイによる末梢血内サイトカイン-ケモカインの発現を始めとした解析を行い、SIRSの発症と多臓器不全に至るサイトカインを中心とした分子動態を時空間的捕らえ、分子基盤情報を構築していく。また、CLPモデルで選定した発現変動分子の病態への関与様式を検討して行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大半は研究関連試薬、動物、動物飼養関連物品の購入にあて、一部を、研究成果発表に係る旅費と論文掲載費などに使用する計画である。
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Research Products
(9 results)