2011 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌におけるMesothelinおよびCA125発現の検討
Project/Area Number |
23659289
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
嶋村 剛 北海道大学, 大学病院, 准教授 (00333617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 省 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (60136463)
神山 俊哉 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322816)
尾崎 倫孝 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (80256510)
蒲池 浩文 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60374237)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Mesothelin |
Research Abstract |
Mesothelinは中皮細胞の分化関連抗原で、正常組織での発現は胸膜、腹膜の中皮に限られる一方、悪性中皮腫、膵癌など多くの癌で発現が認められる。Mesothelinをターゲットとした分子標的治療は現在Phase2の段階で、今後の結果が期待されている。我々は、膵癌の免疫染色においてMesothelin発現および、リガンドであるCA125発現が強力な予後不良因子であることを報告した。また胆道癌、胃癌においても同様にMesothelin発現が予後不良因子であることを明らかにしており、消化器癌においてMesothelin発現が癌悪性度の重要な指標と成りうることを見いだした。膵管内乳頭状粘液産生腫瘍(IPMN)は癌化の過程でadenoma-carcinoma sequenceの関与が示唆されている疾患であるが、これらの免疫組織学的検討では、Mesothelinはadenomaの段階から徐々に発現を認めている。一方、CA125はadenomaの段階では発現を認めないが、微小癌~浸潤癌の過程で、発現が増強してくることが明らかとなった。また、Mesothelinの細胞内での局在は、細胞膜発現型と、細胞質発現型が存在し、胃癌、胆管癌においては、細胞膜発現型が病理学的悪性度と相関し、予後不良であった。このことから、Mesothelinの発現部位が腫瘍の悪性度に関与することが示唆された。しかしながら、、消化器癌におけるMesothelin発現の生物学的意義に関してはほとんど解析されておらず、本研究ではMesothelin発現と癌化および悪性度との関連を分子生物学的に明らかにする。また、抗Mesothelin抗体の臨床応用に向けた基礎実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MesothelinのcDNA(Genecopoeia NM 005823 ORF 1869 bp)からサブクローニングを行い、Mesothelinの前駆体(71kDa:1869 bp)、Mesothelin 膜発現部位(40kD:922 bp)、前駆体切断蛋白(MPF;30kDa:749 bp)をTOPO vectorを経由し、pCX4-FLAG-puro vectorに挿入したプラスミドを作成した。膵癌細胞にtransfectionし、Mesothelin過剰発現細胞株を作成に取り掛かったが、発現ベクターが生体内で機能せず、難儀している。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの過剰発現ベクターにおけるアッセイを行う。大腸癌において、Mesothelinの発現が、リンパ節転移、リンパ管浸潤と有意差を認めたことから、Mesothelin発現を認めた大腸癌細胞株において、リンパ管内皮細胞との相互作用をみるため、リンパ管内皮細胞を購入し、invasion assayおよび、接着アッセイを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度交付分の未使用が生じた背景は、消耗品等の使用が予想より少なくて済んだ。平成24年度分の使用予定は、大腸癌切除検体および、リンパ節におけるMesothelin発現の免疫染色を行う。また、Mesothelinがリンパ節転移と相関する可能性があるため、リンパ管内皮細胞、その培養のためのMediumを購入する。得られたDataの学会発表費用に当てる。また、論文のDeviceの追加免疫染色のための費用とする。
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Research Products
(3 results)