2011 Fiscal Year Research-status Report
免疫複合体網羅解析に基づくバイオマーカー探索のための新規アプローチ
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23659301
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
黒田 直敬 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50234612)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | イムノコンプレキソーム / 免疫複合体 / プロテオーム解析 / LC-MS/MS / 血清 |
Research Abstract |
本年度は免疫複合体の網羅的解析を行う新規測定法(イムノコンプレキソーム解析法)の確立を目的に、以下の検討を行った。1)ミオグロビン及びアルブミンとそれを認識する抗体から作製したモデル免疫複合体を用い、プロテインG固定化磁気ビーズにより免疫複合体を血清中から効率よく回収・トリプシン消化するための条件検討(ビーズ量・還元アルキル化条件・トリプシン量)を行った。検討結果をもとに確立した前処理を行うことで、血清中の複数の抗原タンパク質をLC-MS/MS測定により、一斉に同定できることを確認した。2)健常人血清(13名)を対象にイムノコンプレキソーム解析を行い、患者群との差異解析を実施するための抗原データベースを作成した。3)がん患者の解析を実施する前に、液性免疫との関連性が明確で、自己抗原・抗体についての情報がより豊富な自己免疫疾患患者(関節リウマチ、RA)を対象にイムノコンプレキソーム解析を実施した。健常人血清と晩期RA患者血清について比較した結果、健常人では全く検出されず、RA患者でのみ高頻度に検出される2種類のタンパク質(Thrombospondin-1及びPlatelet factor4)が存在することがわかった。特にThrombospondin-1の検出頻度は81%と高く、従来からRAの判定に利用されてきた抗CCP抗体(68%)よりも高い感度を示した。さらに、RAの症状が現れておらず、血液検査での判定が困難とされる早期RAについても解析を行った。その結果、Thrombospondin-1は早期RAの54%で検出され、血液検査でRA陰性とされた早期RAの50%に認められた。一方、Platelet factor4は早期RAでは12%の頻度でしか検出されなかった(晩期RA:52%)ことから、疾患の進行度を反映する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、モデル免疫複合体を用いる基礎的検討(【9.研究実績の概要】1))のみを予定していたが、予想より順調に検討が完了した。引き続き、確立した解析法を実試料分析へと応用し、疾患特異的な抗原タンパク質を2種類同定することに成功した。以上の観点から、達成度は「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は当初の計画以上に進展しており、次年度以降もより多種類・多検体の解析を実施することで、確立したイムノコンプレキソーム解析法の実用性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には当初計画からの変更が必要な設備備品費は発生しない。
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Research Products
(7 results)