2012 Fiscal Year Research-status Report
免疫複合体網羅解析に基づくバイオマーカー探索のための新規アプローチ
Project/Area Number |
23659301
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
黒田 直敬 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50234612)
|
Keywords | イムノコンプレキソーム / 免疫複合体 / プロテオーム解析 / LC-MS/MS / 血清 |
Research Abstract |
本年度は免疫複合体の網羅的解析を行う新規測定法(イムノコンプレキソーム解析法)の確立を目的に、1)LC-MS/MS条件の最適化、2)中枢神経症状を呈する自己免疫疾患の特異的なバイオマーカーの探索を行った。 1) LC-MS/MS条件の最適化 イムノコンプレキソーム解析法のLC-MS/MS分析におけるタンパク質及びペプチドの同定数の向上を目的に、キャピラリーカラム、グラジェント時間及びトリプシン消化法の検討を行った。グラジェント時間について検討したところ、タンパク質およびペプチドの同定数はグラジェント時間を長くすることで増加した。これは勾配が緩やかになることで、分離が向上したためと考えられる。また、キャピラリーカラム間の比較については、イオン化用ニードルとカラムが一体化したNano HPLC Capillary Columnが最良の結果を与えた。さらに、マイクロ波照射によるトリプシン消化の効率化を検証した結果、極めて短時間(1分)で従来の消化時間(12時間)と同等の消化効率が得られることがわかった。 2) 中枢神経症状を呈する自己免疫疾患の特異的なバイオマーカーの探索 血清以外の対象サンプルとして脳脊髄液を選定し、中枢神経症状を呈する自己免疫疾患(中枢神経性ループス、多発性硬化症、視神経脊髄炎)に特有の免疫複合体の探索を行った。各疾患にのみ認められる抗原タンパク質が、中枢神経性ループスで2種類(suprabasin及びrapamycin-insensitive companion of mTOR)、視神経脊髄炎で1種類認められた。特に、suprabasinは比較的高頻度(26名中9名)に検出され、中枢神経性ループスの診断に有用である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、血清試料(【9.研究実績の概要】1))のみを解析対象として予定していたが、前年度に血清試料の解析に目途が立ったため、引き続き、確立した解析法を別の試料(脳脊髄液)へと応用し、疾患特異的な抗原タンパク質を2種類同定することに成功した。以上の観点から、達成度は「当初の計画以上に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は当初の計画以上に進展しており、次年度以降もより多種類・多検体の解析を実施することで、確立したイムノコンプレキソーム解析法の実用性を検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には当初計画からの変更が必要な設備備品費は発生しない。
|
Research Products
(5 results)