2012 Fiscal Year Research-status Report
特異抗体を利用した多剤耐性菌の迅速検出法の確立と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
23659306
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岡本 了一 北里大学, 医学部, 講師 (30224083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 陽子 北里大学, 医学部, 講師 (80286278)
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Keywords | カルバペネマーゼ |
Research Abstract |
本研究の目的は、多剤耐性菌の多くが産生するカルバペネマーゼについて、特異的抗体を用いた免疫学的検出法により迅速に検出する方法を確立し、検査設備が充分には整っていない中小病院の細菌検査室でも安価かつ簡便に用いることができるようにキット化することにある。本年度の当初計画では、すなわち、作製した抗体の特性性を検定するためのレファレンスとなるカルバペネマーゼを大量に精製した後に、精製酵素を用いて特的モノクローナル抗体を作成することとした。そのために、大腸菌の発現ベクターシステムであるGST Gene Fusion Systemを用いてベクターpGEX-6P-1にIPM-1とKPC-1のカルバペネマーゼ産生遺伝子をPCRクローニングして、GST融合蛋白質として効率よく発現させ、固定化グルタチオンで簡単に精製することを計画した。現時点ではIMP-1およびKPC-1のいずれについてもPCRクローニングが終了し、GST融合蛋白質として発現していることを確認した。IPM-1については大量精製に向けての目途がついたため、モノクローナル抗体作製のための大量精製準備を行っている。一方、KPC-1については、GST融合蛋白質として発現はしているものの、GST封入体(凝集体)を形成していると考えられ、その可溶化と大量精製に向けての条件検討をする必要が生じたため、当初の計画より遅れが生じた。 一方、大学病院の細菌検査室を通じて、臨床分離のカルバペネマーゼ産生菌を収集および保管を行ってきた。昨年度と同様に、主として腸内細菌科の菌種に焦点を当てて収集を行いつつ、IMP-1型カルバペネマーゼ産生株を中心に分離・保存を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の当初研究計画ではカルバペネマーゼIPM-1およびKPC-1に対するモノクローナル抗体を作成する予定であった。しかしながら、KPC-1については、GST融合蛋白質がGST封入体形成をしていると考えられ、大量精製に向けての封入体の可溶化の検討を余儀なくされたことから、モノクローナル抗体作製を依頼するために必要な酵素蛋白質の大量精製には至らなかった。現時点では、IPM-1については大量精製の目途がついており、また、KPC-1についてもGST封入体のリフォールディングキット等の使用により可溶化に目途がついている現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は前述したような理由により研究計画に遅れが生じた。現時点では、IPM-1およびKPC-1の二つのカルバペネマーゼの大量精製に目途がついてので、平成25年度中は、これらカルバペネマーゼ対する特異抗体の作成を行い、かつ、免疫学的迅速検査法への応用を勧める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、研究計画の一部見直しやGST封入体の形成によるカルバペネマーゼ大量精製の遅れにより、特異抗体の作製に研究計画に遅れが生じた。そのために、本年度の研究計画に計上していた経費うち、抗体作製関連に充当する経費を次年度に使用する研究費として繰り越しした。平成25年度は、繰り越した研究経費(1,251,117円)と当該年度交付申請している研究経費(500,000円)を主として特異抗体の作製および特異抗体を用いた迅速検出法への応用研究に充当する予定である。
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