2011 Fiscal Year Research-status Report
高密度リポタンパク質の粒子形態の多様性と脂質代謝異常リスク相関
Project/Area Number |
23659310
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
田渕 眞理 立教大学, 理学部, 准教授 (60380086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 誠 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10406473)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脂質代謝異常 / リポたんぱく質 / HDL / 高脂肪血症 / 心筋梗塞 |
Research Abstract |
近年、動脈硬化症、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症等の患者が急増し、医療や救急現場では脂質代謝異常を従来以上に精度よく迅速に診断できる技術が求められている。脂質代謝異常とリポタンパク質の画分量との相関は知られているが、粒子形態と疾病相関については不明である。そこで本研究では、粒子形態と脂質代謝異常のリスクとの相関を明らかにすることを目的とした。高密度リポタンパク質(HDL)は一般に密度が高いほど粒子サイズが小さいと考えられてきた。しかし、本研究で、健常者において、年齢により、HDLサイズのパターンが異なることが認められた。それはさらに、食前、食後でも異なることが見出された。若年層には、空腹時に高密度HDLは低密度HDLよりサイズが大きく、食後に元に戻る検体例が認められた。一方、熟年層では、空腹時には正常であるが、食後に高密度HDLが大きくなる検体例が認められた。さらには、コレステロール値が健常領域でも200(mg/dL)以上の場合の中にHDLの凝集状態が異なるものが認められた。以上より、健常者にHDL粒子形態の多様性があり、HDLの密度とサイズの従来の関係が必ずしも成り立たないことが明らかになった。さらに、その粒子形態は、年齢により異なること、また、コレステロール値が高めの場合に大きく異なることがわかった。これまで、健常者の詳細については調べられておらず、本方法により脂質代謝予備軍の予測・予防につながることが予想され、本研究の意義が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常者において、HDLの粒子の密度が高いほどサイズが小さいという従来の常識は必ずしも成り立たないという重要な知見が認められた点は意義が高い。さらに総コレステロールが健常領域であっても200以上という高めの場合において、HDLの粒子凝集状態に違いが認められた点は、本研究で予期しなかった新たな知見であり、疾病予測に欠かせない重要な知見である。当初予定の検体数に達することができていないが、23年度達成項目であるI.HDL粒子形態が年齢によりどのように異なるか、について、達成されており、それに加えて新たな知見がえられた。全体をみると予期以上の成果が得られ、本年度成果として十分な収穫が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
測定系が確立したため、今後検体数をふやして測定を行い、24年度の当初予定のII.HDL形態異常に関する因子の模索、III.脂質代謝異常予測について行い、当初予定の生活習慣との相関について、どの因子がどのように関係しているかを解明していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒト検体使用のためのライフサイエンス・倫理承認が予定よりかかったため、当初どうりの検体数を行うことができなかった。それに伴い、24年度は、ボランティア謝金2000円×60人=12万、採血従事者謝金1万×10回=10万、生化学検査外部委託費1万×50検体=50万、実験補助員人件費1000円×300h=30万(立教大)、1000円×340h=34万(埼玉医大)、SPM講習料謝金20万、英文校正費=4万×5=20万、SPM解析用ソフト16万、生化学検査試薬キット20万、電気泳動用チップ5万×6=30万、立教大学と埼玉医大間の交通費1260×8=1万、合計243万を使用する。
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