2012 Fiscal Year Research-status Report
高密度リポタンパク質の粒子形態の多様性と脂質代謝異常リスク相関
Project/Area Number |
23659310
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
田渕 眞理 立教大学, 理学部, 准教授 (60380086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 誠 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10406473)
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Keywords | 脂質代謝異常 |
Research Abstract |
近年、動脈硬化症、心筋梗塞、糖尿病、高脂肪血症等の患者が急増し、医療や救急現場では、脂質代謝異常を従来以上に精度よく、迅速に診断できる技術が求められている。脂質代謝異常とリポタンパク質の各画分量との相関は知られているが、HDLの粒子形態と疾病相関については不明である。そこで、本研究では、健常者100例を対象とし、HDLの形態の多様性を調べ、『粒子形態と脂質代謝異常リスクとの相関を明らかにすること』を目的とした。本研究期間内では、1、HDLの粒子形態の性別や年齢などによる多様性を調べ、2、喫煙や食生活などの生活習慣の因子とHDLの粒子形態との相関を明らかにし、3、HDLの形態観察によって、脂質代謝異常のリスクを予測できるか否かを明らかにする。 平成23年度には、健常者にはHDLの粒子形態の多様性があり、HDLの密度とサイズの従来の関係が必ずしも成り立たないこと、さらに年齢により形態が異なることが示唆された。 平成24年度までに、54例について分析および解析を終了した。HDLの密度とサイズの相関の逆転は、54例中約半数の頻度で存在することがわかった。さらに生活習慣因子である喫煙、外食頻度、運動量はHDLのサイズに影響を及ぼしていること、さらにそれは密度とサイズの相関の逆転に影響していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の100例のボランティア健常者の採血および分画が終了し、そのうち54例分の生化学検査分析とSPM分析を達成した。健常者において、超遠心で分画したHDLの粒子の密度が高いほど粒子サイズが小さいという従来の一般説は必ずしも成り立たないという重要な知見が再現され検証された点は意義が高い。さらにはそれは生活習慣と相関している因子が見つかり、生活習慣の観点から、その逆転理由が検証・証明された点は意義が高い。疾病予測に欠かせない重要な知見であり、内容的には、予想以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに目標のボランティア100例の採血は終了し、54検体の分析は終了しているので、残り46検体の分析、解析を行い、生化学検査値、粒子形態分析、生活習慣との総合解析を行う。 これにより、当初計画どうり、2、喫煙や食生活などの生活習慣の因子とHDLの粒子形態との相関を明らかにし、3、HDLの形態観察によって、脂質代謝異常のリスクを予測できるか否かを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ボランティア100例の収集に時間がかかり、一部の分析、論文投稿、学会発表までが平成24年度に終えられずに繰越金が生じた。平成25年度に、分析費用(外注費 50検体×0.3万)、生化学分析キット(10万)、論文投稿(5万×2)、論文校正(5万×2)学会発表(10万)として使用を計画している。
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