2013 Fiscal Year Annual Research Report
高密度リポタンパク質の粒子形態の多様性と脂質代謝異常リスク相関
Project/Area Number |
23659310
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
田渕 眞理 立教大学, 理学部, 准教授 (60380086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 誠 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10406473)
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Keywords | リポタンパク質 / 脂質代謝異常 / 走査プローブ顕微鏡 / 生活習慣病 / 動脈硬化症 |
Research Abstract |
近年、動脈硬化症、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症等の患者が急増し、医療や救急現場では脂質代謝異常を従来以上に精度よく迅速に診断できる技術が求められている。脂質代謝異常とリポタンパク質の画分量との相関は知られているが、粒子形態と疾病相関については不明である。そこで本研究では、粒子形態と脂質代謝異常のリスクとの相関を明らかにすることを目的とした。本研究期間内では、1.HDLの粒子形態の性別や年齢などによる多様性を調べ、2.喫煙や食生活などの生活習慣の因子とHDLの粒子形態との相関を明らかにし、3.HDLの形態観察によって、脂質代謝異常のリスクを予測できるか否かを明らかにした。 1.高密度リポタンパク質(HDL)は一般に密度が高いほど粒子サイズが小さいと考えられてきた。しかし、本研究で、健常者100例について、HDLを超遠心で精密に高密度HDL (HH:d=1.125~1.210)と低密度HDL (HL:d=1.063~1.125)に分画したのち、その粒子サイズを走査プローブ顕微鏡(SPM)で計測したところ、正常タイプ100例中51例、逆転タイプが49例とおよそ半数が見つかった。つまり、健常者のHDL粒子形態に多様性があり、HDLの密度とサイズの従来の関係が必ずしも成り立たないことが明らかになった。ここでは、性別、年齢との相関は認められなかった。 2.粒子サイズと、生化学検査値や生活習慣等との相関を調べたところ、動脈硬化指数が高くなるほど先の逆転率が高かった。生活習慣因子である食生活の乱れは、逆転率を向上させ、高い動脈硬化指数と一致した。一方、適度な運動は逆転率を低下させ、動脈硬化指数も低下した。以上より、HDLの粒子サイズは生活習慣および脂質異常と密接に関連があることが示唆された。 3.これまで、健常者のHDLの形態の詳細については調べられておらず、本方法により脂質代謝予備軍の予測・予防につながることが示唆され、本研究の意義が高い。
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Research Products
(1 results)