2012 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン・グリアの信号伝播同時イメージングによる神経可塑性の解析
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23659317
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村瀬 一之 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40174289)
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Keywords | 痛覚過敏 / グリア細胞 / 脊髄後角 / 膜電位イメージング / カルシウムイメージング / ATP / 慢性疼痛 / 中枢性感作 |
Research Abstract |
炎症性痛覚過敏と損傷性痛覚過敏のモデル動物を作成し、それらの脊髄後角神経興奮の増強へのグリア細胞の関与を、膜電位イメージングとカルシウムイメージングによって調べた。実験の結果、脊髄後角での神経興奮は、コントロールに比べて炎症、損傷のどちらのラットでも増大していたが、神経損傷ラットには、ミクログリアが深く関与しており、炎症ラットにはアストロサイトが深く関与していた。また、神経損傷ラットでは、ATPの還流によってカルシウムシグナルを示す細胞の数が増大しており、これはミクログリアの抑制およびP2X4受容体の拮抗によって抑制された。 さらに、 Sulforhodamine101(SR101)とFluo-4/AMを同時に投与してアストロサイトの同定とその細胞でのカルシウムイオンの定量を行った。プリンP2受容体の作動薬であるATPおよび代謝型グルタミン酸受容体の作動薬であるDHPGを投与して脊髄後角でのカルシウムイオン動態を解析した結果、コントロールマウスに比べ、末梢組織に炎症を起こし、痛覚過敏となっているマウスでは、ATPに対してカルシウム応答を示す細胞がSR101陽性細胞で有意に増加していた。また、カルシウム応答を示した細胞の数は、ATPの受容体のうちのP2X受容体の阻害薬であるBrilliant Blue Gによって有意に減少した。 本研究では、痛覚過敏がどのような機序で起こるのか、脊髄内の神経伝達の異常、特にグリア細胞の役割について、ニューロンの活動およびグリア細胞の活動をイメージングし、明らかにした。このことは、さまざまな痛覚過敏状態で、神経細胞とグリア細胞の活動がどのように変化しているのか、また、これらは相互にどのような影響を与えているのかを示すものであり、慢性痛や痛覚過敏などの我々に激しい苦痛を与える痛みを緩和するための有効な方法を発見するブレークスルーになると考えられる。
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Research Products
(4 results)