2011 Fiscal Year Research-status Report
高比放射能マルチバレントPETプローブの開発:痛み分子イメージングへの挑戦
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23659319
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
向 高弘 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30284706)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 痛み / 受容体 |
Research Abstract |
本研究では、活性化ミクログリアを痛みのバイオマーカーとした痛みPETイメージングの達成を目的とし、高比放射能マルチバレントPETプローブを開発することとする。本年度は、ミクログリアの活性化に伴い、その発現の上昇が報告されている末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)を標的とした放射性ガリウム標識PETプローブとして、Ga錯体のキレート部位であるDOTAにPBRのリガンド骨格を有するN-(6-aminohexyl)-1-(2-chlorophenyl)isoquinoline-3-carboxamide (PK)を2つ導入したDOTA-PK2を設計した。まず、PKの合成法として、オキサゾロン環を構築してイソキノリンカルボン酸を生成する経路を試みた。グリシンをo-クロロベンゾイルクロライドと反応させ2-(2-chlorobenzamido)acetic acidを得た。次に、無水酢酸存在下、ベンズアルデヒドを反応させ、(Z)-4-benzylidene-2-(2-chlorophenyl)oxazol-5(4H)-oneを得、続いて、無水テトラクロロエタン中で塩化アルミニウムを60度で撹拌し、1-(2-chlorophenyl)isoquinoline-3-carboxylic acid を得た。その後、ヘキシルジアミンの一方のアミノ基をBoc基で保護した化合物と縮合後、脱保護を行い、PKを得た。DOTA誘導体とPKの縮合は、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩を用いて行い、その後脱保護することでDOTA-PK2を得ることに成功した。得られたDOTA-PK2を67GaCl3とpH 4.6、95度で60分間反応させることで、放射化学的収率50%以上、放射化学的純度99%以上で67Ga-DOTA-PK2を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミクログリアの活性化に伴い、その発現の上昇が報告されている末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)を標的とした放射性ガリウム標識PETプローブとして、Ga錯体のキレート部位であるDOTAにPBRのリガンド骨格を有するN-(6-aminohexyl)-1-(2-chlorophenyl)isoquinoline-3-carboxamide (PK)を2つ導入したDOTA-PK2を設計した。本年度はDOTA-PK2の合成に成功し、放射性ガリウムによる標識についても成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
DOTA-PK2の放射性ガリウムによる標識についての条件検討を行い、最適条件を見つける。またリファレンス化合物として、リガンド構造を1つ有するDOTA-PK1を合成する。放射性ガリウム標識体を用いて、in vitroの評価として物理化学的性質、安定性を評価するとともに、基本的な体内動態特性の把握のため、健常動物に投与し、その体内放射能分布を調べる。また非放射性ガリウム標識体について、[3H]PK11195をリガンドとする結合阻害実験により、末梢性ベンゾジアゼピン受容体への結合性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の内容は、有機合成、物性・機能評価、放射性標識化学、分子認識学、薬物動態評価など多岐に亘る過程から成立っている。それ故、個々のステップにおいて必要な種々の試薬、溶媒、ガラス器具、プラスチック器具等の購入を予定している。また、標識合成のための放射性同位元素、HPLCカラムやインビトロの評価のための試薬、消耗品、さらにはインビボ評価のための実験動物などの費用を使用する予定である。
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