2012 Fiscal Year Research-status Report
侵害性機械刺激受容体の同定とトランスジェニックフライを用いた機能解析
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23659321
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
古山 昭 奥羽大学, 歯学部, 助教 (80364454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 茂 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 細胞生理学研究部, 助教 (50422069)
磯野 邦夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 産学連携研究員 (70124550)
増澤 徹 茨城大学, 工学部, 教授 (40199691)
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Keywords | 機械刺激受容体 |
Research Abstract |
1.カエル侵害性機械刺激受容体蛋白質の同定について:capsaicinの皮下投与が機械刺激に対する防御反射閾値を低下させる分子メカニズムについて検討した。カエル皮下へのcapsaicin投与時に、suraminによってP2X受容体をブロックすると、機械刺激に対する反応閾値は変化しない事を見いだした。このことから、capsaicin単独ではなく、ATP分泌とP2X受容体が関与して閾値変化をひきおこす可能性が示唆される。TRPV1受容体の活性化が皮膚組織におけるATPの分泌を促し、機械刺激受容器の感度を調節する分子メカニズムの存在が推測されたため、第54回基礎歯科医学会学術大会で発表した。 2.ショウジョウバエ味覚神経への機械刺激受容体候補蛋白質の発現:ショウジョウバエ味覚遺伝子Gr5aのプロモーターを用いて、機械刺激受容体であることが示唆されているマウスTRPV4蛋白質のショウジョウバエ味覚神経への発現誘導を試みた。マウスTRPV4のmRNAの生成はRT-PCRにより確認できたが、受容体蛋白質の機能的強制発現は確認できなかった。そのため、Gr5aだけではなく、より早い発生段階から味覚器に広く発現するpoxn遺伝子プロモーターを併用すると、TRPV4発現を誘導したショウジョウバエはTRPV4アゴニストを摂食するようになり、マウスTRPV4の機能的発現に成功した。 3.ショウジョウバエ味覚器の機械刺激装置の開発:ショウジョウバエ味覚器に機械刺激を加えるための、piezo素子を用いた弾性ヒンジ型ナノ振動印加装置に改良を加え、刺激周波数と刺激強度の調節機能を持たせることを検討した。その結果、0.1-500Hzの振動周波数では共振は生じず、安定した振動振幅を得られるようになった。この振動印加装置の開発について、日本機械学会第25回バイオエンジニアリング講演会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画当初はカエルの侵害性機械刺激受容体がcapsaicin感受性を持つと仮定していたが、capsaicin受容体は機械刺激受容体そのものではなく、capsaicin受容体の興奮が皮膚におけるATP分泌を促し、間接的に機械刺激受容器の感受性をコントロールする可能性が示唆された。capsaicinが直接的に侵害性機械刺激受容体に作用する可能性は残っているが、間接的制御に関するより詳細な検討が必要とされ、結果によっては、capsaicin感受性を指標にして侵害性機械刺激受容体を同定する計画は見直しが求められる。 当初はGr5aプロモーターにより種々の機械刺激候補受容体をショウジョウバエの味覚神経に発現させる予定であったが、蛋白質の機能的発現には至らず研究の進展が遅延した。しかし、Gr5aプロモーター単独ではなく、poxnプロモーターを併用する事により問題を解決する事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
1.カエル機械刺激感受性制御メカニズムの解明 1-1)機械刺激感受性制御におけるTRPV1の関与を検討:Xenopusではcapsaicin受容体であるTRPV1遺伝子の一次配列が決定された。この情報をもとに、TALEN法を用いてカエルTRPV1遺伝子をノックアウトする。ノックアウトガエルで機械刺激感受性がcapcaicinによって変化するかどうかを調べ、機械刺激感受性制御にTRPV1が関与するかどうかを明らかにする。1-2)カエル皮膚におけるTRPV1の局在を検討:RT-PCRにより、カエル皮膚にTRPV1が存在する事は示唆されたが、それが皮膚に存在するのか、或いは神経終末に存在するのかは不明である。抗TRPV1抗体を作成し、免疫組織化学的手法により、皮膚におけるTRPV1の局在を検討する。1-3)機械刺激感受性制御におけるATPの関与について検討:P2X受容体のアゴニストがカエルにおいて機械刺激感受性を変化させるかを薬理学的に検討する。さらに、capcaicinの皮下投与時に、皮下においてATPが実際に分泌されるかをルシフェラーゼアッセイにより検討する。 2.ショウジョウバエ味覚神経に発現させたTRPV4の機械刺激感受性の検討:平成24年度に確立したショウジョウバエ味覚器への外来遺伝子導入法と、ナノ振動印加装置を用いて、mTRPV4の発現によりショウジョウバエ味覚神経の機械刺激に対する感受性が変化するかどうかを電気生理学的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗カエルTRPV1抗体受託作成費用に次年度の研究費の大部分を使用する。
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Research Products
(3 results)