2013 Fiscal Year Annual Research Report
侵害性機械刺激受容体の同定とトランスジェニックフライを用いた機能解析
Project/Area Number |
23659321
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
古山 昭 奥羽大学, 歯学部, 助教 (80364454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 茂 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), その他部局等, 助教 (50422069)
磯野 邦夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), その他 (70124550)
増澤 徹 茨城大学, 工学部, 教授 (40199691)
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Keywords | TRPチャネル / 機械刺激 / ショウジョウバエ / 味覚神経 |
Research Abstract |
マウスTRPV4をショウジョウバエ味覚器(味覚受容体Gr5a発現味覚ニューロン)および脳ニューロン(転写調節因子poxn発現ニューロン)に強制発現させた系統で、TRPV4の特異的アゴニストGSK1016790Aに対する吻伸展応答や、強制的にアゴニストを摂取させた場合の行動変化を詳細に観察した。その結果、アゴニストに対する吻伸展応答は野生型と同じであり、強制的にアゴニストを摂取させ体内に取り込ませた場合も、摂食行動に有意な変化は見いだせなかった。 TRPV4発現の効果が確認できなかった原因を検討するために、ショウジョウバエ味覚器および脳(poxn発現ニューロン)に常時開口型Kチャンネル(kir2.1)を強制発現させて神経の興奮性を抑制し、その効果を検討した。Gr5a発現ニューロンにkir2.1-GFPキメラタンパク質を強制発現させ、味覚ニューロンに蛍光シグナルが認められた系統においても、ショ糖に対する吻伸展応答はコントロールと比較しても有意差が認められなかった。しかし、脳のニューロンにKir2.1を強制発現させると、成虫の発生率がコントロールの10%程度に低下し、摂食行動も濃度識別能力などに有意な低下が見られた。 以上の結果から、ショウジョウバエ味覚器(Gr5a発現味覚ニューロン)は外来チャネルタンパク質を発現しうるが、チャネルは機能していないことが示唆された。一方、脳ニューロンにおいてはkir2.1は正常に機能していたが、TRPV4の機能は確認できなかった。TRPV4アゴニストが脳ニューロンに到達していない可能性があり、脳にアゴニストを直接注入するなどの方法を用いて、より詳細な検討が必要である。 本研究では味覚ニューロンに種々のTRPチャネルを強制発現させ、その機械刺激に対する応答特性を網羅的に調べることを試みたが、脳のニューロンとは異なり、末梢味覚ニューロンでは外来チャネルタンパクが発現したとしても機能しないことが示された。
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