2012 Fiscal Year Research-status Report
多光子励起顕微鏡による痛みのゲートコントロール説の遺伝子改変マウスでの実証
Project/Area Number |
23659322
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 講師 (70276393)
西田 和彦 関西医科大学, 医学部, 助教 (80448026)
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Keywords | 多光子励起顕微鏡 / 脊髄 / 一次求心性線維 / Ca応答 / レポーターマウス / 刺激応答 |
Research Abstract |
皮膚感覚は一次求心性線維を介して脊髄後角に伝達され、侵害刺激は閾値をこえると脊髄視床路を経由して大脳皮質で痛覚として認識される。脊髄後角I-V層は一次求心性線維、投射ニューロン、介在ニューロン、下行性抑制ニューロンが複雑に絡み合った神経回路網を形成する。本研究の目的は、1)神経回路網を可視化できるレポーターマウスを用いて多光子励起顕微鏡下に神経回路網を構成するニューロン群をリアルタイムにイメージングすること、2)疼痛モデルで脊髄後角の神経回路網の変調を解析し、中枢性感作機構を解明することである。 平成23年度は、神経組織特異的に蛍光タンパクを発現するThy1-YFPマウスで炎症モデルを作製し、多光子励起顕微鏡下で脊髄後角、特に膠様質に局在するYFP発現細胞の細胞の形態を検討した。炎症性疼痛モデルで脊髄後角ニューロンの形態変化が生じること、グルタミン酸受容体拮抗薬で抑制されることを明らかにし、本研究の目的2)を達成した。平成24年度は健常なマウスで末梢刺激の応答をCa2+濃度変化による機能変化からイメージングするために、子宮内遺伝子導入法でレポーター遺伝子を導入し、末梢組織からの刺激応答をイメージングする系を脊髄後角で確立した。現在、レポーターマウスを作製し終えた段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に炎症モデルでの神経回路網の変化の形態学的解析ができた。平成24年度は末梢からの刺激に対する機能的解析を行うために、Ca2+濃度による刺激応答反応系を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
痛覚伝達における脊髄後角の細胞の役割を明らかにするために、コンディショナルレポーターマウスを作製した。今後、興奮性、抑制性ニューロン特異的レポーターマウスを作製し、脊髄後角の神経回路網をイメージングして痛覚伝達、中枢性感作機構を解明する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
興奮性、抑制性ニューロン特異的レポーターマウス作製のための、輸送・繁殖・飼育、DNA関連試薬、動物行動、刺激応答反応実験のため実験動物、その他一般試薬、ディスポ器具が必要となる。
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