2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659324
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 博美 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60142931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若尾 宏 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10280950)
小田 淳 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50255436)
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Keywords | 細胞治療 / 抗酸菌 / MAIT細胞 / ゲノム修飾のないiPS化 |
Research Abstract |
マウスにおいて、ナチュラルキラーT細胞が抗腫瘍効果を持つことは明らかにされている。しかし、ヒトではナチュラルキラーT細胞は希少であり、マウス同様の効果は全く得られていない。一方、ナチュラルキラーT細胞と同じ自然免疫系に属し、類似の性質が予測される粘膜関連インバリアントT(マイト)細胞はヒトに多数存在し、肝臓内のT細胞の50%近くに達する。しかしながら、マイト細胞は試験管内での増殖が不可能であるためにin vitroの実験が難しく、またマウスには殆ど存在しないためin vivoの研究が困難で、研究が遅れている。そこで、我々は核内に移行しないためゲノム修飾しないセンダイ・ウイルス由来のベクターを用い理論的に発ガン可能性のないヒトiPS細胞を作製し、そこから98%以上の純度でマイト細胞へと分化誘導させることに成功した。reMAIT細胞と名付けたこの細胞を免疫不全マウスに移入したとき、肝臓や膵臓を始めとするヒトで細胞が分布するのと同じ組織ヘ移行することが明らかとなった。そこで、これら移行した細胞が生理機能を発揮するか否かを明らかにする研究を行った。マイト細胞は結核に関係すると云われているので、reMAIT細胞を移入した免疫不全マウスと移入していない免疫不全マウスでの非定形抗酸菌感染実験を行った。その結果、reMAIT細胞移入マウスでは抗酸菌の増殖が著明に抑制されていることが示された。しかも、移入マウス血清にはヒトには存在するがマウスに存在しないグラニュライシンが検出された。グラニュライシンは細菌壁を破壊することにより、抗細菌効果を持つことが知られているので、ヒトreMAIT細胞を用いた細胞治療が可能であることが示された。世界各国で多剤耐性菌が問題となる一方、抗生物質開発が限界に近づき、トランスポゾン化した耐性遺伝子も発見されている。細胞治療はこのような現状へのブレイクスルーを齎す。
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Research Products
(2 results)