2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素の高次脳神経機能に及ぼす影響に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23659332
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高宮 考悟 宮崎大学, 医学部, 教授 (40283767)
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Keywords | ヒ素 / 高次脳機能 / シナプス可塑性 |
Research Abstract |
ヒ素は、アジア各国において飲料水中に多量に含有されており、これを摂取せざるを得ない住民達における慢性ヒ素中毒は、今後日本を含む、世界規模で発生してくる大規模な中毒問題となることが危惧されている。本研究において、ヒ素の神経機能への影響を医学・生物学的観点より検討し、基礎的データを集めることにより、現在注目されていないヒ素の中枢神経機能への影響を 明らかとすることを目的とする。 今回の研究では、無機ヒ素化合物として三酸化二ヒ素(As2O3, As[III])、ひ酸(H3AsO4,, As[V])、有機ヒ素化合物としてジメチルアルソン酸(DMA)、モノメチルアルソン酸(MAA)の4種類を用いて神経機能への影響を観察した。方法としては、ラット胎児より神経細胞を培養し、3-4週間培養を続け成熟させた後、これら4種のヒ素化合物を一定濃度で培養液に添加し、20分後と60分後における細胞表面のAMPA型グルタミン酸受容体を定量した。これにより As[III]とDMAの2種類のヒ素が、細胞表面のAMPA型グルタミン酸受容体を細胞内へ取り込ませることが明らかとなった。さらに、1)この変化が神経細胞の成熟度によって異なる。2)これら変化が加えたヒ素に濃度依存的である。3)ヒ素の影響は、一過性でありヒ素の除去により24時間以内に回復する。4)ヒ素は、主にシナプスに存在するAMPA型グルタミン酸受容体を細胞内へ取り込ませていた。5)ヒ素は、AMPA型グルタミン酸受容体のリン酸化を介してその細胞内への取り込みに関与している。等のことが明らかとなった。
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