2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659337
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
井上 健一郎 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (20373219)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 衛生 |
Research Abstract |
平成23年度は、マウスiPS細胞から心筋細胞、血管内皮細胞等循環器系細胞への分化培養系の条件を検討した。具体的には iPS細胞から分化誘導後時系列を追って、中胚葉、心筋細胞、血管内皮細胞の分化マーカーの発現をRT-PCR法および免疫組織化学的手法によりフローサイトメーターや蛍光顕微鏡等で解析した。次に、循環器系に対して毒性が疫学的および実験的に報告されているディーゼル排気微粒子(DEP)をモデル粒子状物質として選択し、DEP をin vitro で曝露した際の毒性影響を、上記iPS細胞から心筋細胞や血管内皮細胞へ分化する培養系で評価することを試みた。詳細には、iPS細胞からの各分化・成熟段階にDEPを曝露し、それぞれEB、中胚葉、心筋細胞・血管内皮細胞への分化や各種細胞分化後の性質等に与える影響を、遺伝子発現レベルや表面抗原マーカー等から調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞からの血管内皮細胞への分化系は再現性がいまだとれておらず、難航しているが、それ以外の研究は概ね予定通り進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、iPS細胞からの血管内皮細胞への分化系の再現性実験を先行して行う。その後当初の予定通り、粒子状物質の構成成分を代えて影響を検討するとともに、影響メカニズムを分子レベルで解明する。具体的には、経時的に、DNAマイクロアレイ(Affymetrix、GeneChip)を用いた包括的遺伝子解析を行う。変動の明らかな遺伝子に関しては、定量的PCRでさらに詳細な検討を加える。また、対応するタンパク質の発現変動を、Western blottingとELISAで検討する。さらに、これらの遺伝子の転写に関わる核内レセプターと転写因子について、その活性化や発現の変化を経時的に評価する。以上より、影響の鍵を握る分子(critical molecule)を明らかにする。また、酸化ストレス、カルボニルストレスマーカーの動態に関する結果も総合し、適切、かつ、評価の容易なバイオマーカーを選定する。また、影響に関連する予防的バイオマーカーの探索も行う。さらには、上記の検討を総合して、環境汚染物質の新規毒性スクリーニング手法確立の手掛かりを探る。対象物質としては、疫学研究等で心血管毒性影響が示唆されているDEP(環境ナノ粒子を多くふくむDEPも含む)や、その構成成分(脂溶性化学物質、ベンツピレン、キノン系化学物質等)を選する。また、心筋毒性をもつことが明らかとされているドキソルビシン等の薬剤やコエンザイムQ10等の心筋代謝改善物質、ニフェジピン等のCaイオンチャネル阻害剤等も対照物質として用い同アッセイ系への影響を併せて調べることで、DEP等の影響との比較検証も行う予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PCR用プライマー類やELISAキット、さらにはタンパク分析用の各種抗体等の生物系実験用消耗品を購入予定。
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