2011 Fiscal Year Research-status Report
ファージディスプレイ法による、交叉反応性ヒト型抗ノロウイルス抗体の単離とその定性
Project/Area Number |
23659338
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
守口 匡子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (60298528)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ノロウイルス / ヒト型抗ノロウイルス抗体 / 交叉反応性 |
Research Abstract |
本研究は、バキュロウイルス発現系を用いて作製したヒトノロウイルス(HuNoV)の人工ウイルス様空粒子(VLP)を抗原に用い、ヒト型ファージ抗体ライブラリーから多数の抗HuNoV抗体を単離し、受動免疫による予防・治療法や、簡便なウイルス検出キットを開発すること、さらには、それら抗体が認識するウイルス構造タンパク質上のエピトープを同定し、HuNoVワクチン設計を試みることを目的としている。 平成23年度には、交付申請書の「研究実施計画」に記載した(1)、(2)、(3)に関し、結果を得ることが出来た。即ち、それまでに完了しつつあったGII/4タイプのNarita 104株でのスクリーニングに加え、GI/4タイプのChiba株のVLPを用いたスクリーニングも行い((2))、ファージディスプレイ法にて作製された3つのヒト型抗体ライブラリーから、合計67クローン(46タイプ)の抗HuNoV抗体を単離した((1)、(2))。更に、それら抗体の交叉反応性を、様々なgenogroup/genotypeのVPL(14種類)を抗原として用いたELISA法にて検証した結果、3つがintra-genogroup交叉反応性抗体(genogroup II内交叉反応性抗体が2クローンと、genogroup I内交叉反応性抗体が1クローン)、1つがinter-genogroup交叉反応性抗体であることが判明した((1)、(2))。 次に、交叉反応性を示す上記4つの抗体を中心に、これまでに単離された抗体のエピトープマッピングを行うべく、スクリーニング時の抗原として用いたr104とrCVの構成タンパク質VP1をサブドメインごとに分割し、SUMO融合タンパク質として大腸菌に発現させることを試みた。各サブドメイン融合タンパク質とも十分な発現量が確認され、現在、精製を試みている((3))。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度には、「研究実績の概要」蘭に記載した通り、交付申請書の「研究実施計画」に基づいて(1)、(2)、(3)を行い、結果を得ることができた。しかし、(3)に関しては、エピトープマッピングまで行う予定であったが、現在、その為の抗原の準備段階までにしか到達しておらず、(3)の達成度は50%である。また、(4)に関しても、(3)でのエピトープ同定が不可欠であるため、実施出来ていない。 (3)の進行が遅れた理由については、当初、VP1をサブドメイン毎に分割して大腸菌に発現させる際、融合タンパク質にGSTを用いていた。しかし、この系での発現量はサブドメイン毎に大きく異なり、サブドメインによっては、ELISA法の抗原として用いるのに必用な量を確保することが困難なものもあった。このことが、当初の計画よりやや遅れてしまう原因となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
単離されたヒト型抗HuNoV抗体のエピトープマッピングを行うため、各VP1サブドメインをSUMO融合タンパク質として発現させる系に変更した結果、GSTの系に比して、安定且つ高い発現量であることが確認できたので、この系を用い、平成24年度の前半には、VP1のどのサブドメインにエピトープがあるのかを決定したい。加えて、交付申請書の「研究実施計画」に記載した平成24年度の計画、即ち、単離された67クローン(46タイプ)の抗HuNoV抗体が、中和活性等生体防御に関わる活性を有するかどうかの検証や、詳細なエピトープマッピングを遂行したい。更には、同定されたエピトープを、マウスノロウイルス(MNV)の相補領域と入れ替えたキメラMNVの作成にも着手したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の通り、平成23年度は、エピトープマッピングへ向けた抗原の準備段階で困難な状況が発生し、以降のエピトープマッピング作業を行うことが出来なかった。従って、それに必用な消耗品を購入するに至らず、次年度使用額が生じることとなった。平成24年度中には、上述の様に、変更した発現系で作成したVP1サブドメインタンパク質を用いてELISAを行い、エピトープマッピングを遂行したい。また、平成24年度に新たに請求する研究費は、交付申請書の「研究実施計画」の記載通り、これまでに単離された抗体の生体防御活性の検証実験や、キメラMNV作成に必用な試薬・消耗品の購入に当てたい。
|
Research Products
(1 results)