2012 Fiscal Year Annual Research Report
国際的花粉情報システム構築に向けた基礎的・疫学的研究
Project/Area Number |
23659345
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
寺西 秀豊 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (40115184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱崎 景 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (50533494)
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Keywords | 国際交流 / 花粉情報 / スギ花粉症 / 疫学調査 / 不飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
テーマは、1.花粉症情報に関する調査研究と情報の発信について、2.スギ花粉飛散数と花粉症発症患者数の関係を統計解析し、発症の閾値を検討する、3.アレルギーへの食事・栄養因子の影響-血中脂肪酸と特異的IgE・RAST等の関わりについてであった。 研究1.花粉症情報に関する調査では、自動計測器(KP-1500)がダ―ラム、バーカードと有意の相関のある事を検証した上で、KP-1500によるリアルタイム花粉情報システムを構築し、当大学公衆衛生学教室のホームページで発信することができた。また、花粉情報として求められるのは、①花粉飛散量と飛散開始日、②薬、治療法のアドバイス、③翌日の飛散予測の3項目であった。 研究2.スギ花粉飛散数と花粉症患者発症日調査では、富山県医師会の協力を得て花粉症発症患者調査の実施し、累積スギ花粉数の対数値と累積患者数には年次変動の少ない安定した量反応関係があることが判明した。また、花粉数が少ない段階でも患者数は徐々に増加するが、数百から1,000個前後で、急激に増加する傾向が確認された。閾値を検討する上で最も花粉数と量反応関係が明確なのは眼鼻両方の症状を示す患者であった。 研究3.アレルギーの食事・栄養因子の影響-血中脂肪酸と特異的IgE・RASTの関わりについては、血清IgE抗体と脂肪酸(不飽和脂肪酸代謝物、エイコサノイド)との明確な相関は得られなかった。しかし血清EPA組成量別にグループ化し検討すると患者の発症閾値に若干の違いが認められた。特にEPAの低値群では累積花粉数が1000個前後でも直線的増加傾向がうかがわれた。花粉症患者発症日調査でも数百から1,000個前後で、患者が急激に増加する傾向が観察されたが、そうした患者にはEPA組成量が低いこととの関連が疑われた。発症の閾値とEPA等の不飽和脂肪酸の影響については、更に検討すべきと考えられた。
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