2011 Fiscal Year Research-status Report
中心血圧:動脈硬化性臓器障害の新たなリスク因子としての意義付け
Project/Area Number |
23659352
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田原 康玄 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (00268749)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 哲郎 愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 教授 (00174003)
小原 克彦 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30260384)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 中心血圧 / 血圧動揺性 / 循環器疾患 / 動脈硬化 / リスクマーカー |
Research Abstract |
動脈硬化/動脈硬化性臓器障害に対する中心血圧のリスクを、血圧変動性を含め疫学的に明らかにすることを目的に本研究を実施した。対象は、申請者らが愛媛大学医学部附属病院で運営する人間ドック(抗加齢ドック)受診者のうち、本研究に同意の得られたケースとした。中心血圧は、オムロンヘルスケア社と共同で申請者らが開発した中心血圧計(HEM-9000AI)を用いて測定した。測定は、安静座位に加えて食事性変化を測定した。食事性血圧変化は、昼食(600kcalの標準食)の直前と食後30分の計測値とから計算した。動脈硬化性疾患のリスク因子としてインスリン抵抗性(HOMA指数)を評価した。 安静時の上腕血圧(SBP)と中心血圧の平均は、それぞれ128±19、120±19mmHgであった。食事による変化は上腕で-3.5±11.2mmHg、中心で-7.7±12.2mmHgであり、中心血圧の方が食事性変化が大きかった。上腕と中心の血圧変化には相関係数0.919の有意な関連が認められた。リスク因子との関連では、食事による血圧低下が少ないほどBMIが大きく(上腕(四分位での比較):22.7±2.9、23.2±3.1、23.2±3.0、23.7±3.3mmHg、p=0.002、中心:23.0±2.9、23.1±2.9、23.4±3.2、23.4±3.2mmHg、p=0.295)、インスリン抵抗性(HOMA指数)が高値であった(上腕:0.13±0.59, 0.22±0.59、0.20±0.61、0.32±0.64、p=0.001、中心:0.18±0.59、0.18±0.59、0.25±0.63、0.28±0.61mmHg、p=0.081)。HOMA指数に対する多変量解析から、BMI、安静時上腕血圧に加え、中心血圧あるいは上腕血圧の食事性の変化(上昇)は独立した説明因子として抽出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々が愛媛大学医学部附属病院で運営する人間ドック(抗加齢ドック)の受診者を対象としてデータの収集を行った。本年度は食事性血圧変化に着目して解析を行ったが、起立性血圧変化のデータも計画通り収集している。具体的には、座位からの起立1分後と3分後に血圧を測定している動脈硬化性疾患のリスク因子としては、インスリン抵抗性(HOMA指数)に加え、CT による腹部断層撮影から内臓脂肪面積、頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)、脈波伝播速度(PWV)を評価した。無症候性脳血管障害は、頭部MRI画像からラクナ梗塞、側脳室白質病変、微小出血をチェックしている。軽度認知機能障害(MCI)はMCI screenを用いて評価しており、当初の計画に照らして予定通りに実施できた。データ解析では、断面的な検討から食事性血圧変化の記述疫学データを得ることができた。この点においても、当初の計画に照らして順調に推移していると判断できる
|
Strategy for Future Research Activity |
【臨床情報の収集】前年度の計画を踏襲して継続的に更なるサンプル・臨床情報の収集を行い、解析規模の拡大を目指す。研究過程で新たな動脈硬化指標や臨床マーカーが見いだされた場合は、随時、収集項目に追加していく。【横断的な解析・検討】前年度と同様の計画で横断的な解析を行う。解析サンプル数の増加が見込めることから、前年度までに比し、新たな知見が得られるものと期待される。MCIの評価には再現性の問題が指摘されていることから、抗加齢ドック2年目の受診データを元に、脳萎縮や重心動揺との相関について、再現性の検討も行う。【縦断的な解析・検討】心血管系疾患(脳卒中・心筋梗塞)の発症に関する追跡調査を行い、症例数が蓄積されれば縦断的な解析から心血管系イベントの発症に対する立位動揺性の予後予測能について評価する。統計解析においては、近年、欧米で多く用いられているPartial least square法(PLS法)を用いる。この方法では、各変数間の共線性を考慮しながら変数の次元を削減できるため、疾患発症の効率よい予測が可能になると考えられる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データを収集する上で必要な消耗品、血液検査委託費用、成果発表旅費としての使用を予定している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Journal Article] Relatively lower central aortic pressure in patients with impaired insulin sensitivity and resistance: the Toon Health Study.2011
Author(s)
Tabara Y, Saito I, Nishida W, Kohara K, Sakurai S, Kawamura R, Onuma H, Takata Y, Osawa H, Miki T, Tanigawa T.
-
Journal Title
J Hypertens.
Volume: 29
Pages: 1948-54
Peer Reviewed
-
-