2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の境界型糖尿病における網膜病変に関する地域調査研究
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23659360
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐野 浩斎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20408404)
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Keywords | 地域調査 / 疫学 / 高齢者 / 網膜病変 / 境界型糖尿病 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
本年度は1231名(63.1±10.1歳(AV±SD))男性712名/女性519名を対象に中間解析を行った。眼底所見(疑いも含む)は数の多い順に、視神経乳頭陥凹158例、白内障42例、高血圧性眼底23例、黄斑変性19例、網膜上膜15例、眼底出血15例、網膜血管硬化症13例、緑内障10例、糖尿病網膜症9例、網膜静脈閉塞症7例、黄斑円孔4例、硬性白斑2例であった。中間解析の対象症例中で、65歳以上の高齢者は578名(71.8±5.2歳)男性315名/女性263名であった。65歳以上の高齢者では、眼底所見(疑いも含む)は数の多い順に、視神経乳頭陥凹68例、白内障33例、網膜上膜11例、眼底出血11例、黄斑変性10例、高血圧性眼底9例、網膜血管硬化症8例、緑内障7例、糖尿病網膜症4例、網膜静脈閉塞症3例、黄斑円孔3例、硬性白斑2例であった。眼底所見に影響する可能性のある患者背景や臨床検査データに関しては、中間解析の対象症例1231名全体では、BMI 23.1±3.0(AV±SD)、収縮期血圧126.4±17.8mmHg、拡張期血圧79.4±11.3mmHg、LDLコレステロール125.1±32.8mg/dl、中性脂肪112.6±76.3 mg/dl、HDLコレステロール60.7±14.5 mg/dl、空腹時血糖101.3±18.0mg/dl、HbA1c(JDS値) 5.4±0.6%であった。65歳以上の高齢者578名では、BMI 22.9±2.8、収縮期血圧130.8±17.9mmHg、拡張期血圧79.3±11.5mmHg、LDLコレステロール124.3±31.0mg/dl、中性脂肪103.5±67.0mg/dl、HDLコレステロール59.8±13.8 mg/dl、空腹時血糖101.6±16.7mg/dl、HbA1c(JDS値) 5.5±0.6%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者の情報として、BMIなどの身体所見、糖代謝指標としてHbA1c(JDS値)、収縮期および拡張期血圧、総コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪などの脂質値、眼底検査により得られた眼底所見などをデータベースに集積した。測定可能な対象者では、尿中アルブミン排泄量や75g経口ブドウ糖負荷試験の結果も収集した。収集予定項目の90%以上の情報を得られた対象者は1282名(63.1±10.1歳(AV±SD))男性737名/女性545名で、その中で65歳以上の高齢者は598名(71.9±5.2歳)男性324名/女性274名であった。本年度は、データベースのスクリーニングが完了した1231名(63.1±10.1歳)男性712名/女性519名と、その中の65歳以上の高齢者578名(71.8±5.2歳)男性315名/女性263名に関して中間解析を行った。一方、収集予定項目の50%以上の情報が得られた対象者は746名(78.8±12.6歳(AV±SD))男性338名/女性408名、その中で65歳以上の高齢者は640名(82.7±7.9歳)男性285名/女性355名であった。進捗としては、データベースにおいて収集予定項目の90%以上の情報が得られた対象者は1282名、収集予定項目の50%以上の情報が得られた対象者は746名となった。データベースに情報が得られた対象者は2028名、その中で65歳以上の高齢者は1238名となり、研究はおおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
リクルートされた対象者の中で、データベースにおける収集予定項目の90%以上の情報が得られていない約750名の対象者の情報を可能な限り収集して、収集予定項目の90%以上の情報が得られるようにする。次年度も、本年度に引き続き、町立津南病院の人間ドックおよび内科外来から本研究の対象者を新規にリクルートする。新規の対象者が確認されるたびに、リクルートされた対象者に関する各種情報を確認し、新たな対象者に関する各種情報を取り入れたデータベースを作成する。具体的には、本年度に引き続き、新たな津南町在住の40歳以上の対象者を確認し、糖代謝異常およびその他の生活習慣病に関する身体所見と各種検査項目を確認する。対象者に眼底検査を施行し、眼底所見を確認する。確認された対象者に関する情報は紙媒体を経由して、データ入力を定期的に継続していく。HbA1c値による分類でも境界領域の糖代謝異常を抽出する。境界領域の糖代謝異常の抽出には、可能な場合には経口ブドウ糖負荷試験を施行する。今後は、高齢者の境界型糖尿病における生活習慣病関連眼底疾患や網膜病変に関する内科的リスクファクターを評価、検討していく予定である。具体的には、ロジスティック回帰分析や重回帰分析などの多変量解析を用いて、生活習慣病関連眼底疾患や網膜病変の内科的リスクファクターを検討する。さらに高齢者とそれ以外の年齢との比較検討をするために、年齢別の層別解析を施行して、高齢者における生活習慣病関連眼底疾患や網膜病変の内科的リスクファクターの特徴も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も本年度に引き続き、町立津南病院の人間ドックや内科外来を受診した患者の中から、津南町在住の40歳以上の、新たな対象者をリクルートし、対象症例を増やすことを予定している。次年度使用額が生じた理由は、リクルートされた新たな対象者から、糖代謝およびその他の生活習慣病に関する各種検査項目を測定し、データを得る際に使用する血清脂質分析試薬、一般血液検査試薬、尿分析試薬などを含めた測定キットの購入を、次年度使用額から支出することを予定しているためである。さらに、リクルートされた新たな対象者から得られたデータを紙媒体として管理することも継続するため、紙媒体および整理文具などの購入も次年度使用額から支出する予定である。 次年度の使用計画として、血清脂質分析試薬、一般血液検査試薬、尿分析試薬などを含めた測定キットの購入を、次年度使用額から支出する予定である。まず、尿中アルブミン排泄量測定のためのキットを購入する予定である。次年度もリクルートした対象者から得られた情報を紙媒体より、定期的にデータベースに入力する。データベースの長期的な管理にはデータベースをデジタル媒体だけではなく、紙媒体として管理することも重要である。データベースを紙媒体として管理することも継続するため、その整理目的に紙媒体および整理文具などを購入する。紙媒体および整理文具などの購入費も次年度使用額から支出する予定である。具体的にはA4版、B4版、A3版などの用紙や各種バインダーなどの購入を予定している。次年度は、研究の成果を学会や論文に発表することを予定しており、学会参加の旅費なども次年度使用額から支出する予定である。
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Research Products
(1 results)