2011 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞や消化器がんに係る危険因子及び診断マーカーとしてDNaseIを活用する
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23659367
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安田 年博 福井大学, 医学部, 教授 (80175645)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | DNase I / 疾患感受性遺伝子 / SLE / SNP / 遺伝子型―活性相関 |
Research Abstract |
DNase I遺伝子は消化器がん、心筋梗塞、自己免疫疾患の新規な疾患感受遺伝子であり、さらに心筋梗塞などの発症に際し血清レベルの急激な活性上昇が惹起される。本研究では、それら疾患の発症や診断に係るDNase Iの病態生理学的関与を解明することによって疾患危険因子・診断マーカーとしてのDNase Iを確証することを目的とする。1.全身性エリテマトーデス(SLE)患者における血清DNase I活性と疾患活動性や臓器症状との相関性があるか、また、DNase Iの遺伝的多型が発症危険因子となり得るかを検討した。その結果、血清DNase I活性はSLE disease activity indexによる疾患活動性と有意な逆相関性を示し、さらにSLE患者の治療経過においても 血清DNase I活性の低下がSLE活動性に関与していることが示された。また、DNase I遺伝子の主要多型を構成する対立遺伝子DNASE1*1および*2について、SLE患者群ではDNASE1*2との相関が認められた。従って、血清DNase I活性は、SLE疾患活動性の有効な指標であり、SLE発症に関与することが示唆された。2.血清DNase I活性の臨床応用には、高感度かつ測定時間が短い活性測定法が不可欠である。今回、microchip electrophoresis法をDNase I活性測定に適用したところ、活性測定時間を短縮することに成功した。3.DNase I多型database構築の一環として、DNase I遺伝子内に分布するSNPについて遺伝子型―活性相関を精査した。その結果、エキソン外領域に座位する多型性を有すSNP6座位について、血清活性レベルと遺伝子型との相関は認められなかった。従って、DNase I遺伝子のエキソン外に座位する多型性SNPはin vivo酵素活性に影響しないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の観点から、「(2)おおむね順調に進展している」と自己評価した(1)DNase I遺伝子が関与する自己免疫疾患であるSLEについて、SLE活動性と血清DNase I活性の関連性が明らかにでき、従ってSLE病態に係るDNase Iの病態生理学的関与の解明が進展した。(2)これまでDNase I活性の臨床応用について障害となっていた活性測定法が新規な方法論の適用によって改善され、臨床研究進展の基盤が構築できた。(3)DNase I多型databaseが、遺伝子型―活性相関の知見を含め構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)消化器がん、心筋梗塞、自己免疫疾患などの疾患感受性遺伝子であるDNase I遺伝子の多型databaseを、多民族集団における分布や遺伝子型―活性相関を含め構築できた。今後、構築された遺伝的基盤をもとに、様々な疾患患者におけるDNase I多型とin vivo酵素活性との相関性を精査することによって、疾患感受性遺伝子としての病態生理学的関与の理解が進展する。このため、前年度から継続している、検査試料の採取・解析を引き続き実施する。(2)DNase IはDNase familyに属しており、DNase I以外にも疾患感受性遺伝子となるDNase familyが想定される。そこで、DNase I解析に利用してきた遺伝学的手法をDNase familyに適用し、新たな疾患感受性遺伝子の同定を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)研究用試薬など消耗品を購入する際「キャンペーン」時に購入するなど工夫したため、当初計上していた物品費が予定額よりも若干少ない金額で研究を遂行できた。このため当該研究費が生じた。(2)当該研究費は本年度要求する研究費の物品費に合わせ、本年度計画の研究遂行に使用する。
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Research Products
(13 results)