2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来血管内皮前駆細胞は皮膚損傷の受傷後経過時間判定のための指標となり得るか?
Project/Area Number |
23659371
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60136611)
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
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Keywords | 骨髄前駆細胞 / EPC / ケモカイン / 皮膚損傷 / 受傷後経過時間 |
Research Abstract |
ヒト皮膚損傷における骨髄由来の血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell, EPC)の検出とその法医学的意義についての検討を行った. 法医剖検例において,受傷後経過時間が判明しているヒト皮膚損傷を53例を試料とした.方法としてCD34およびFlk1またはc-kitおよびTie-2に対する蛍光2重染色によりEPCの検出を行い,染色結果については,200倍で1視野当たりEPC数をカウントし,10視野の平均値を算出した. CD34およびFlk1の組合せ,またはc-kitおよびTie-2の組合せによる蛍光2重染色でEPCの検出を比較したところ,前者に比べて後者の抗体の組合せの方が,より高い感度でEPCを検出することができたことから,半定量解析についてはCD34およびFlk1によって検出された細胞を対象とした. 受傷後1日までの損傷ではEPCは検出されず,最も早期にEPCが検出されたのは受傷後2日目であった.その後,受傷後経過時間に伴いEPC数は増加し,受傷後10日前後で最大となり,その後減少傾向にあった.具体的には,受傷後2から6日の皮膚損傷では,いずれの損傷試料についてもEPC数は20個以下であった.一方,受傷後7から12日目の損傷群では,21例中20例で20個以上のEPCを検出した.また,受傷後11日の損傷において,EPC数が最大であった. 以上,ヒト皮膚損傷において,EPCが検出されない場合は,受傷後1日までの損傷であり,検出された場合は受傷後2日目以降の損傷であることを示唆している.さらに,EPC数が20個以上検出された損傷の受傷後経過時間は7日から12日であるものと判断される.すなわち法医実務において,皮膚損傷の受傷後経過時間判定は重要事項である.今回の研究成果は,EPCが皮膚損傷の受傷後経過時間判定のための有用な指標となることを示している.
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Research Products
(11 results)