2012 Fiscal Year Annual Research Report
腸上皮バイオカプセルを用いた新規薬剤デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
23659394
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10175127)
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Keywords | 腸管上皮 / バイオカプセル / 薬剤デリバリー / 炎症性腸疾患 / 初代培養法 |
Research Abstract |
① 腸管上皮バイオカプセル作成法の確立:マウス腸管組織からのバイオカプセル作成法の最適化を行い、以下の成果を得た。1) マウス大腸組織より安定してバイオカプセルを培養し得る独自の技術を確立した。その必須因子としてWnt3a, BSA, EGF, HGF, Nogginを同定した。2) 腸管上皮幹細胞特異的遺伝子LGR5のコード領域をEGFP並びにCreリコンビナーゼで置換したマウスを用いる事により、同手法により確立したバイオカプセルは腸管上皮幹細胞を豊富に含む上皮細胞群で構成されている事を明らかとした。3)上記方法によるバイオカプセル作成法は単一の幹細胞からも樹立可能であり、DSS投与により誘発された粘膜欠損・潰瘍面に選択的に生着し、潰瘍面を被覆する性質を有し、かつ長期に渡り生着し得ることを明らかにした。これにより、DSS腸炎の臨床的経過を改善し得ることも明らかとした。4)上記バイオカプセル作成法はヒト消化管内視鏡生検検体を用いたバイオカプセル作成へも応用可能であることを確認した。 ② 薬剤含有バイオカプセルの作成技術の確立:上記方法につき、薬剤含有バイオカプセルとして応用可能であるか、検討を行った。1)外面にP-Glycoprotein 基質であるRhodamine123を添加することにより、Rhodamine123がバイオカプセル内腔へ経時的に集積することを確認した。2)上記にて観察したRhodamine123の集積はP-Glycoproteinの阻害薬であるverapamilにより濃度依存的に解除されることを明らかにした。 上記の成果は、腸管上皮由来バイオカプセルが上皮再生治療のツールとして技術的に実現可能であり、なおかつP-Glycoproteinを介した内向きの輸送系が薬剤含有バイオカプセルの作成に有用である可能性を示した重要な成果であると考えている。
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Research Products
(9 results)