2011 Fiscal Year Research-status Report
常温作動パルス励起型MIセンサによる細胞内・細胞間伝導解析と薬効評価の新技術開発
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23659397
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 晋介 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30192230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 剛 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00203555)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 磁気センサー / 非侵襲 / 上部消化管 / ペースメーカ電流 / 再生医療応用 |
Research Abstract |
物理法則としてもよく知られるように、電流に伴い磁界が発生する。これは生体でも同様であり、心臓など興奮性細胞組織の電気的活動によって磁気活動が誘起される。23年度は、携帯電話磁気コンパスとしても使用される常温作動パルス励起型MI (PMI)センサーを、サブナノテスラにまで高感度化を行い安定的な生体磁気計測を試みた。このため、まず手巻きコイル(500ターン・1mm直径)で製作したPMIセンサーを用いて、実験動物(モルモット)から摘出する細胞組織の計測を行うと伴に、比較的磁界が大きいヒト胸部の磁界計測を行った。前者の実験では、PMIセンサー直上に計測用の非磁性体チャンバーを設置し、胃、盲腸縦層筋組織などの自発性活動磁界を計測した。一部の実験では、活動磁界と細胞外電位の同時記録も行い、磁気現象が電気現象と同期して発生することも確認した。また、自発性活動磁界の信号のヒストグラム解析から、このPMIセンサー計測の現在の検出限界は、0.25~1 μAの電流によって発生する磁界であると推定された。 一方、ヒト胸部において胸部と垂直方向に発生する心臓磁界を計測したところ、胸部の位置に依存するいろいろな波形の活動磁界を検出した。これは心電図と同期していたので、心臓の電気活動に伴う磁界と結論できた。 このような成果を国内学会で2回報告(東京、松本)するとともに、2編の英文論文を出版した (Nakayama et al. Biosensors and Bioelectronics 27, 34-39, 2011; Nakayama et al. PLoS ONE 6(10), e25834, 2011)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手巻きコイルとこれに適合した検出回路を使用することにより、摘出した生体標本(平滑筋組織)が発生する自発性の活動磁界を記録することができた。この実験結果をもとに発表した論文は、小さな生体組織での生体活動を世界で初めて報告したものである。また、一方、ヒト胸部の活動磁界も計測して論文報告しており、研究はおおむね順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる高精度の磁界検出のため、機械まきの高精密コイルを使用してMIエレメントを製作し作動増幅する。またインバータ回路の精密な調整によりアモルファスワイアへ供給するパルス電圧の均一化を行い、低ノイズ化を図る。このような調整を行いながら、実験動物から摘出するいろいろな電気興奮性組織(消化管筋層や泌尿生殖器筋層等)における組織依存性磁気活動の差異検出を行う。このとき振幅ヒストグラム解析や磁気・電気信号相関解析などを利用するとともに、ノイズ解析などの応用も試みる。また、本年及び将来的に、ES細胞から誘導する細胞組織の電気・磁気特性評価を行う機器の製作を行うため、まず、心筋や消化管への分化誘導を行った組織を使用して調べる。一方、ヒト生体表面の磁界変化をうまく計測できるような形状・特性のMIエレメントも試作する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費120万円については、1)消耗品:60万円程度、2)国内旅費:10万円程度、3)外国旅費:25万円程度、4)謝金・その他:25万円程度の使用を予定している。研究の進行により、必要であれば、高精度アンプ(30万円程度)を備品として購入する可能性がある。消耗品としては、実験動物、試薬、プラスチック類(ピペットチップ等)、電機部品(高精密コイル、ケーブル、コネクタ類)等を予定している。国内旅費は、東京で開催される学会への参加・発表にあてる。外国旅費は、英国生理学会への参加・発表にあてる予定である。謝金・その他として、論文の英語校閲や電気基板の製作のための研究費使用を予定している。
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Research Products
(5 results)