2011 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患発症における口腔内細菌の役割解明を目指した挑戦的萌芽研究
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23659402
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中島 淳 横浜市立大学, 附属病院, 教授 (30326037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 孝一郎 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90263467)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
Inflammatory Bowel Disease (IBD)の発症については様々な原因が指摘されているが、その詳細は不明な点が多い。一方、う蝕(虫歯)の原因菌であるStreptococcus mutans (S. mutans) は歯科治療時に感染性心内膜炎や菌血症などの全身疾患を引き起こすことが知られている。臨床的背景としてう蝕は減少傾向であるが、先進国では歯周病患者は増加傾向にある。一方、わが国ではS. mutans高病原性株は1980年頃より保菌率が増加してきている。近年米国循環器病学会と歯周病学会は口腔内細菌が心疾患のリスク要因である警告を共同で出している。我々は近年、S. mutansの中で特殊な菌株が菌血症などの全身疾患を起こしやすいことを見出した。本研究ではこの高病原性S. mutansが、う蝕を引き起こすだけでなく、血中に侵入することによりIBDを誘発・悪化させる可能性について、動物実験ならびにヒトサンプルを用いた分析などにより検討した。本結果は欧文誌Scientific reportにアクセプトされ電子版ですでに出版されている。口腔内細菌は患者肝臓にて病原性を発揮し、インターフェロンガンマ―などを産生することで腸管免疫の変調を促し疾患の増悪再燃に深く関与することが推測された。今後はIBD発症・悪化における口腔細菌の関与を明らかにし、高病原性S. mutansの感染がIBD発症のリスクファクターとなりうるかどうかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルとひと検体を用いた成果を英語論文に投稿して受理された。成果に関しては新聞全国紙各紙で紹介され国民の関心も高かった。
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Strategy for Future Research Activity |
う蝕菌と潰瘍性大腸炎の臨床学的検討が残された課題
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
う蝕菌と潰瘍性大腸炎の臨床危険因子の解析
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