2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659410
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村越 伸行 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80447218)
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Keywords | 心疾患 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、理化学研究所で開発された化学変異原であるエチルニトロウレア(ENU)を使用した大規模かつ体系的な変異マウスライブラリーを用いて、心機能・形態・心臓刺激伝導能を指標に大規模かつ網羅的なin vivoスクリーニングを行い、遺伝性心筋症や遺伝性伝導障害といった難治性心疾患の原因遺伝子を同定すること、さらには、有用な心疾患モデルマウスを確立し、難治性心疾患に対する新たな治療法の開発を目指すことを目的としている。 ランダム変異を有する12週齢の第一世代(G1)マウスを週60匹ずつ理化学研究所バイオリソースセンターから筑波大学生命科学動物資源センターに搬入し、全身麻酔下で12誘導心電図および心臓超音波による心臓形態評価・心機能評価・電気生理学的評価を行った。また、小動物用心臓超音波であるVevo2100を使用し、傍胸骨左室長軸像および短軸像によって左室径、左房径、短縮率、駆出率、壁厚の計測を行った。 平成23年度から引き続き、平成24年度もランダム変異マウスに対してスクリーニングを行い、現在までに約6000匹のスクリーニングを終了した。34匹について表現型陽性と判定(心肥大17、左室駆出率低下7、心肥大+左室駆出率低下8、心拡大1、心室性不整脈1)した。それらのうち18匹について第二世代マウスを作成してスクリーニングを行ったところ、心肥大を呈する2系統について遺伝性が確認され、現在第三世代を作成して解析を継続している。 平成25年度も引き続き年間約3000匹のスクリーニングを継続するとともに、表現型陽性個体に対して、第二次スクリーニング・遺伝性テスト・および原因遺伝子の同定を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異マウスライブラリー約1万匹のうち、約6000匹のマウスの心スクリーニングが終了しており、当初の計画通りである。平成25年度も同様のペースで解析を進めれば、ライブラリーのほぼ100%をスクリーニングできるペースであることから、順調な進捗状況と考えられる。第二世代のスクリーニング・遺伝性テストは計画より3~4ヶ月の遅れがあるが問題なく進行しており、おおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も引き続き週60匹・年間約3000匹を目標にスクリーニングを継続するとともに、表現型陽性個体の第二次スクリーニング・遺伝性テスト・および原因遺伝子の同定を進めていく予定である。 第一次スクリーニングでは心電図による電気生理学的評価、および心エコーによる心機能・心形態評価によって行う。第一次スクリーニングで表現型陽性と判定されたマウスは第二世代を作成し、それらのマウスのスクリーニングも同様に行っていく。加えて、全身麻酔下にドブタミン(あるいはボスミン)負荷心エコーを行い、より詳細なスクリーニングを行っていく予定である。第二世代で表現型陽性の雄マウスを別系統のマウスと戻し交配して第三世代(G3)を作成し、第三次スクリーニングに進む。陽性の場合、DNAを抽出し、全染色体にわたり約20cM間隔で設置したマーカーを用いて、TaqMan法による高速SNPsマッピングを行う。その結果をもとに連鎖解析に基づいて責任遺伝子座を特定する。最終的にはダイレクトシークエンスにて原因遺伝子を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していたマウスエコー用解析システムは既設の共通解析ソフトで代用できたため、予定していた約50万円は平成25年度に繰り越しとした。平成25年度は、次年度使用額と平成25年度申請額(直接経費)の80万円の約130万円の使用を予定している。平成24年度はリアルタイムPCR用試薬や吸入麻酔薬などの試薬類、チューブ類などの実験用品、戻し交配を行ったり、野生型マウスの表現型を解析するために必要な実験用動物など、消耗品として80万円を計上する。設備備品費としてマウス用レスピレーターの購入のため50万円を計上する。その他、実験動物の飼育費などの経費を計上する。 変異マウスライブラリー自体は理化学研究所との共同研究として搬入されるため、このライブラリー自体には研究経費が必要ない。またリアルタイムPCRやシークエンサー、小動物用心臓超音波装置などは既設の共通機器を使用する予定である。
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