2011 Fiscal Year Research-status Report
ハッチンソンギルフォード早老症候群の病態解明に関する基盤研究
Project/Area Number |
23659411
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
南野 徹 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90328063)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | p53 / 老化 / 早老症候群 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
加齢は、心血管疾患のリスクファクターとして良く知られているが、「なぜ、加齢に伴ってそれらの疾患の有病率が増加するのか?」については、よくわかっていない。一方、早老症候群は、若年期に老化の形質を示す遺伝性の疾患として知られており、その病態生理の解明は、高齢者における心血管疾患の発症予防・治療に有用である。そこで本研究では、早老症候群のひとつでプロジェリンが原因分子である、Huchinson-Gilford早老症候群の病態生理を解明することによって、循環器疾患(特に動脈硬化性疾患)の新たな治療のストラテジーを開発することを目的とする。 まず、血管内皮細胞にプロジェリンをレトロウィルスベクターによって導入したところ、核膜の変化が認められるのにも関わらず、増殖能などについては変化がなかった。これに対して、血管平滑筋細胞にプロジェリンを導入すると、直ちに細胞の増殖は停止し、老化・細胞死の形質を示すようになることがわかった。これらの形質は、細胞老化分子であるp53を欠失させておくと、抑制されることから、p53依存性のシグナルの重要性を示唆していると考えられた。 さらに、血管内皮細胞と血管平滑筋細胞におけるプロジェリンの特異的な相互作用タンパクを同定するために、血管内皮細胞と血管平滑筋細胞に野生型のラミンAとプロジェリンを導入し、それぞれ免疫沈降によって得られた試料について、iTRAQを用いたプロテオミクス解析をおこなったところ、DNA障害の修復に関与し、p53シグナルの上流分子であるDNA-PKを同定した。DNA-PKを欠失させるとプロジェリン導入による老化・細胞死の形質を回避できたことから、その重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、早老症候群のひとつである、Huchinson-Gilford早老症候群(HGPS)の病態生理を解明することによって、循環器疾患(特に動脈硬化性疾患)の新たな治療のストラテジーを開発することを目的しているが、すでにプロジェリンと相互作用し、p53依存性細胞老化に関与する分子を同定していることから、計画の遂行はおおむね順調であると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらにHuchinson-Gilford早老症候群の病態生理におけるDNA-PKの重要性について検証するとともに、別の分子の同定のため、血管内皮細胞と血管平滑筋細胞に野生型のラミンAとプロジェリンを導入し、それぞれの遺伝子発現プロファイルについてマイクロアレイを用いて解析する。その結果を用いてGOやPAGEなどによるパスウェイ解析も行う。特異的な変化が認められれば、その分子の過剰発現やノックダウンを行うことによって、プロジェリンに対する作用について検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プロテオミクス解析やマイクロアレイを用いた解析が中心となるため、主に、物品費用として使用の計画を考えている。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] p53-induced adipose tissue inflammation is critically involved in the development of insulin resistance in heart failure2012
Author(s)
Shimizu I, Yoshida Y, Katsuno T, Tateno K, Okada S, Moriya J, Yokoyama M, Nojima A, Ito T, Zechner R, Komuro I, Kobayashi Y, Minamino T. 1234678GB005 p53-induced adipose tissue inflammation is critically involved in the development of insulin resistance in heart failure. 1234678GC005 Cell Metab
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Journal Title
Cell Metab
Volume: 15
Pages: 51-64
DOI
Peer Reviewed
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