2012 Fiscal Year Annual Research Report
異種間ヘテロカリオン細胞の包括的遺伝子解析によるヒト心筋細胞初期変換因子群の確立
Project/Area Number |
23659419
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
王 英正 岡山大学, 大学病院, 教授 (50372579)
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Keywords | 直接リプログラミング / 人工心筋細胞 / 心臓内幹細胞 |
Research Abstract |
特定諸因子群による線維芽細胞の人工多能性幹(iPS)細胞(Cell;126:663,2006)及び人工マウス心筋細胞(Cell;142:375,2010)への直接再プログラム化が報告された。しかし、ヒト心臓内細胞を人工的に心筋細胞に分化誘導する遺伝子群は不明である。細胞と細胞が融合すると新たに形成された細胞は、2種類の染色体情報をもったヘテロカリオン細胞となる。本研究目的は、 ①ヒト心臓内幹細胞とマウス心筋細胞の細胞融合を介した異種間ヘテロカリオン細胞の樹立。②ヘテロカリオンを示す融合心筋細胞のヒト遺伝子情報の読み出しと心筋誘導因子群の同定。③自己修復能が高い単心室症由来iPS細胞におけるヒト心筋細胞特異的転写因子群の同定。④②と③における候補因子群またはGATA4/Tbx5/Mef2Cによる人工ヒト心筋細胞の樹立。 ヒトとマウスの細胞間融合を介して形成されたヘテロカリオン細胞は、マウスの細胞性質を獲得したヒト遺伝子情報が独立して発現誘導しており、細胞形質変換の初期スイッチを握る重要な因子群の発現量が大きく変化していた。 作成したヘテロカリオン細胞を用いて、マイクロアレイで選別したマウス由来の遺伝子群のうち、心筋細胞の再プログラム化因子群にかかわると想定される候補因子群を16個に絞り込み、それぞれの候補遺伝子群をヒト心臓内幹細胞内に導入することで、心筋細胞の成熟化を定量化した。 一連のスクリーニング実験により、最終的にGATA4, Mef2c, Tbx5, Myocardin, Hand2が最もヒト成熟心筋細胞への直接分化誘導に必須不可欠な転写因子群であることを明らかにした。 本研究成果は未分化の心筋前駆細胞から最も効率に成熟心筋細胞への系統誘導因子群を明らかにした研究であり、今後、実質的な心筋細胞を用いた再生医療研究への展開が期待される。
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