2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659421
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
砂川 賢二 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50163043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市来 俊弘 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80311843)
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Keywords | 低酸素応答系 / prolyl hydroxylase / 脂肪細胞 / 耐糖能 / 肥満 / hypoxia-inducible factor |
Research Abstract |
【研究の背景と目的】脂肪組織や血管における炎症が、肥満に伴うメタボリック症候群や動脈硬化病変の形成に重要な役割を果たす。また炎症と低酸素状態は悪循環を形成する事が知られている。低酸素状態で活性化されるhypoxia-inducible factor(HIF)と呼ばれる転写因子は、正常酸素状態ではprolyl hydroxylase domain (PHD)蛋白により分解へ誘導される。低酸素状態になるとPHDが阻害される結果HIFが活性化され、低酸素に拮抗する様々な分子の発現を誘導する。本研究では、脂肪細胞特異的にPHDのアイソフォーム2(PHD2)を欠損するマウスを作成し、解析した。 【結果】PHD2-floxed マウスとaP2-Creマウスを交配し、脂肪細胞特異的PHD2欠損マウスを作成した。このマウスの脂肪組織ではHIFの発現が増加していた。高脂肪食を負荷したところ、野生型マウスと比較してPHD2欠損マウスは体重および脂肪重量が少なく、耐糖能が良好であった。インスリン抵抗性には大きな差は無かった。高脂肪食負荷後のPHD2欠損マウスの脂肪細胞は小さく、脂肪組織へのマクロファージの浸潤も少なかった。脂肪組織での解糖系酵素遺伝子の発現増加が認められた. 【考察】脂肪細胞特異的にPHD2を欠損するマウスは高脂肪食負荷による肥満に抵抗性で耐糖能が良好であることが分かった。これは、HIFの活性化により解糖系が亢進し、酸化的リン酸化が抑制されたため、より多くの糖を消費してATP産生を行うためと考えられた。また,脂肪組織へのマクロファージの浸潤が減少しており、脂肪組織における炎症の軽減の関与も示唆された。脂肪細胞のPHD2は肥満軽減のための創薬のよい標的分子となる可能性が考えられた。
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