2011 Fiscal Year Research-status Report
降圧系生理活性ペプチドの機能増強個体の臨床疫学的同定と解析
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23659422
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (20381098)
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 助教 (10389570)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 降圧ペプチド / アドレノメデュリン / ANP / BNP / 機能増強 / 高血圧 / 心血管疾患 / 腎疾患 |
Research Abstract |
研究背景:アドレノメデュリン(AM)および心房性と脳性ナトリウム利尿ペプチド(ANPとBNP)は、降圧ペプチドであり、高血圧、心血管疾患および腎疾患の発症進展に対して抑制的に作用する。これらの血中濃度は、血圧上昇や心血管・腎疾患の重症度に関連して上昇するが、濃度上昇や機能が不十分であることが1つの要因となり、結果として高血圧や心血管・腎疾患を発症し進展させると考えられている。一方、降圧ペプチドが必要かつ十分に機能して、高血圧や心血管・腎疾患を発症しない「機能増強個体」を同定したとの報告はない。研究目的:1)健診受診者のなかから、AM、ANPまたはBNPの機能が十分に発揮され、高血圧や心血管・腎疾患を発症していないと判断される健常人(降圧ペプチド機能増強群)の同定を試みる、2)循環調節因子のプロフィールを含めて機能増強群の臨床的特徴を明かにする、3)機能増強に関する循環生理学的および遺伝的分子生物学的背景を解明する。研究方法:地元自治体の健康診査受診者を対象に、血中AM、ANP、BNP濃度を測定して、3~5年間、毎年、同健診により追跡調査し、降圧ペプチド濃度が一定レベル以上に上昇し、かつ観察期間中に高血圧、心血管疾患および腎疾患を発症しない住民(増強群)を検索する。そのうえで、増強群の循環生理学的、代謝内分泌学的、臨床および分子遺伝学的背景の検索を試みて、降圧ペプチドの機能増強の機序解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
降圧ペプチドの測定とデータベースの構築:1)地元自治体の健康診査受診者を対象に、研究実施に関する書面同意を得て、降圧ペプチド測定のための採血を実施した(n=109)。2)既に採血して保管されている血漿サンプルのAM、ANP、BNP、NTproBNPの測定を行った(n=623)。3)AM、ANP、BNP、NTproBNPの測定結果と健診より得られた臨床データを基に、解析の基盤となるデータベースを構築した。解析結果と考察:上記3)で得られたデータベースを用いて、測定結果の妥当性の検討を行った。1999年、2008年、2009年に得られたサンプルの測定結果に関して、AMは年齢、BMI、血清クレアチニン値と正に相関し、ANP、log(ANP)、BNP、log(BNP)、NT-proBNP、log(NT-proBNP)と年齢、収縮期血圧との間に正の相関関係が観察された。すなわち、従来観察されている統計的関係が再現性をもって観察され、データベースのvalidityが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
1)健康診査時に得られた血漿サンプルのうち、未測定の血漿AM、ANP、BNP、NTproBNP濃度を、IRMA、CLEIAまたはECLIAを用いて測定する。2)測定結果を用いてデータベースを構築し、サンプルサイズを大きくする。3)構築したデータベースを用いて、AM、ANPまたはBNPの機能が十分に発揮され、高血圧、心血管疾患および腎疾患を発症していないと判断される健常人(機能増強群)の同定を試みる。4)機能増強群の循環調節因子のプロフィールを含めて機能増強群の臨床的特徴を明かにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)血漿AM、ANP、BNP、NTproBNP濃度のIRMA、CLEIAまたはECLIAによる測定(300千円)2)上記測定のための試薬やチューブ等の消耗品購入(400千円)3)データ処理およびデータベース構築のための謝金(100千円)4)研究打合せおよび研究発表のための旅費(100千円)
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Research Products
(16 results)