2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659425
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中川 修 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40283593)
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Keywords | 転写調節因子 / 心血管系 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
転写因子は、遺伝子発現調節領域のDNA配列に結合すると同時に、多様なパートナー分子(コファクター)、クロマチン修飾酵素と「転写複合体」を作って働く。発生シグナル・環境要因・病的刺激などの「上流制御系」が、転写複合体を構成する多様な分子の機能を修飾することにより、時間・空間特異的な遺伝子発現調節が行われる。一方、ひとつの転写複合体が制御する「下流遺伝子」は多数にわたり、それらの遺伝子群の発現制御により細胞全体の機能・形質の劇的な変化をもたらす。このように、転写複合体による遺伝子発現調節は「ゲノム遺伝子数をはるかに越えた多様な細胞分化・臓器機能調節の根幹」として働き、その破綻は様々な病態に直結する。この見地より私達は、心血管系の分化・形態形成・成熟機能の制御に働く転写因子の研究を行ってきた。本研究では、特異抗体を用いずにIP-Mass Spec法(転写調節複合体構成分子の解析)やChIP-Sequence法(転写調節因子のターゲット遺伝子の網羅的解析)を行う方法として、Tandem Affinity Purification(TAP)-tagを用いた二重精製法に利用可能なトランスジェニックマウスを作成することを試みた。現在までにNotchシグナル伝達系やBMP-ALKシグナル伝達系の下流因子として働くHairy-related transcription factor (Hrt)にTAP-tagを融合させたタンパク分子を発現させるマウス系統を確立した。このTransgenicマウスはCre依存的に臓器特異的・時期特異的なHrt-TAPを発現することが可能である。このマウス系統を用いて上記のIP-Mass Spec法やChIP-Sequence法を行うことは、特異抗体に頼らない新しいin vivo転写調節因子作用機序解析法として期待される。
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