2011 Fiscal Year Research-status Report
リプログラミングによるヒト心臓線維芽細胞から心筋細胞への直接誘導
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23659426
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
家田 真樹 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (70296557)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
1. ヒト心臓線維芽細胞から直接リプログラミングによる心筋細胞誘導の系を確立する。(1) ヒト心臓線維芽細胞の培養法、最適な遺伝子導入法の確立本年度の研究でヒト心臓線維芽細胞の培養法構築、高率な遺伝子導入法の確立に取り組んだ。研究対象となる心筋組織および心臓線維芽細胞は心臓病治療のために心臓外科手術を施行する患者より通常の医療行為に付随して得られるものであり、大学の倫理委員会に申請書を提出して認可を得た。ヒト心臓線維芽細胞の培養はマウス同様にexplant culture法を用いた。その結果、約14日間で実験に必要十分量のヒト心臓線維芽細胞の培養をすることに成功した。また得られた線維芽細胞は、線維芽細胞マーカーのvimentinを100%発現しており、心筋マーカーのアクチニンを全く発現していないことを免疫染色で確認した。次に様々な遺伝子導入法をGFP蛋白を使用して試してみた。FACSを用いた定量的な解析の結果特殊なレトロウイルスを用いることで85%以上の高い遺伝子導入効率を確立することに成功した。(2)心筋リプログラミング因子の同定上記の方法を用いてヒト心筋リプログラミング因子の探索を行った。線維芽細胞を感染前日に培養皿に播種し、レトロウイルスを用いて心筋リプログラミング因子を感染させた。単独因子では心筋誘導は見られなかった。しかし現在preliminaryではあるが、複数の因子をコンビネーションで遺伝子導入することで、心筋トロポニンT,サルコメアアクチニン、ANPなどの心筋特異的タンパク質の発現を2-4週間後に確認できた。また心筋特異的遺伝子の発現もQRT-PCRで確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、基本的に我々がすでに確立したマウスでの実験系を参考に行った。心筋リプログラミング因子のスクリーニングを行うためヒト心臓線維芽細胞の培養系を確立した。方法としては心臓外科手術でカニュレーションのため取り除く心筋組織から心臓線維芽細胞を培養しこれまでの実験でヒト心臓線維芽細胞の培養に成功した。線維芽細胞を感染前日に培養皿に播種し、レトロウイルスを用いて心筋リプログラミング因子を感染させた。単独因子では心筋誘導は見られなかった。現在preliminaryではあるが、複数の因子をコンビネーションで遺伝子導入することで、心筋トロポニンT,サルコメアアクチニン、ANPなどの心筋特異的タンパク質の発現を2-4週間後に確認できた。また心筋特異的遺伝子の発現もQRT-PCRで確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はヒト誘導心筋細胞と心筋細胞の相違を明らかにする。具体的にはヒト誘導心筋細胞の詳細な遺伝子プロファイル、生理的機能を検討する。またIn vivoで心臓線維芽細胞から心筋細胞への直接リプログラミングを確認する。(1) 心筋リプログラミング因子を導入したヒト線維芽細胞を免疫不全マウスの心臓に移植し心筋細胞への転換を確認する。心筋への直接リプログラミングが生体内で可能か検討する。心筋リプログラミング因子を導入したヒト線維芽細胞を遺伝子導入後一日目、まだ心筋に転換する前に免疫不全マウス心臓内に移植する。細胞移植後2週間~1ヶ月程度でマウス心臓を免疫染色し、線維芽細胞が心臓内で心筋細胞に転換しα-actininなどの心筋特異的たんぱく質の発現や横紋筋構造が観察されるか検討する。(2) マウス心筋梗塞モデルにヒト誘導心筋細胞を移植して心機能改善を確認する。免疫不全マウスに心筋梗塞を作成し、その後ヒト誘導心筋細胞を心筋梗塞部位に移植する。心筋細胞への分化転換を分子生物学的・組織学的検討により,心機能改善を心エコー、MRI法など用いて確認する。いずれの手技も過去の研究で行っており技術的問題はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究費は主として消耗品費と謝金、印刷代などに利用される予定であり、設備備品費を申請する予定はない。当研究室の研究設備はすべて整っており、新規の設備投資は必要とせず、直接研究に関わる経費のみを支出する予定である。物品費(消耗品等)として試薬、ガラス・プラスチック器具、実験用動物等に計130万円使用予定。
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