2011 Fiscal Year Research-status Report
含鉄蛋白質に含まれるラジウムの体内被曝による悪性中皮腫発生機序に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23659432
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木浦 勝行 岡山大学, 大学病院, 教授 (10243502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧川 奈義夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60325107)
市原 英基 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40549705)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | (1)含鉄蛋白質 / ラジウム / 悪性中皮腫 / 体内被曝 / ラット / プリミティブマントル正規化微量原素パターン / 鉄 / 発癌 |
Research Abstract |
岡山大学地球物質科学研究センターの中村栄三教授らは,微量元素パターンの解析で悪性中皮腫患者の肺から分離したフェリチンからなる含鉄蛋白質小体に環境生態系より高い濃度のラジウムを検出している。生体内にラジウム吸着によるホットスポットが形成され,そこから発せられる長期間のα線により,細胞傷害あるいはDNA損傷を介して発癌を引き起こしている,すなわち"ラジウムの生体内被曝による癌化"という斬新で独創的な仮説を提唱している。本研究はこの仮説を検証するために動物実験を計画した。ラットを使用し,腹腔内に長期に鉄剤を注射することにより腹膜中皮腫を形成させ,自然界に存在すラジウムが腹膜中皮腫の含鉄小体に集積しホットスポットを形成するか否かを地球物理化学的・免疫組織学的・分子生物学的に検証する目的で、3週齢の健常雄性Slc: Wistarラットを購入し,7日間の馴化終了後,各群の体重平均値および標準偏差がほぼ等しくなるように,第1群2匹,第2群2匹,第3群14匹の計3群に群分けされ,第1群 媒体のみ,第2群 媒体およNTA:83.5 mg/kg 20週間,第3群 媒体およNTA:83.5 mg/kg 20週間,Fe: 5 mg/kg12週間の腹腔内1日1回,週5回の反復投与が終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3週齢の健常雄性Slc: Wistarラットを24匹購入し,7日間の馴化終了後,当日の体重を基に3群に分けた。各群の体重平均値および標準偏差がほぼ等しくなるように,第1群2匹,第2群2匹,第3群14匹の計3群に群分けされ,第1群 媒体のみ,第2群 媒体およNTA:83.5 mg/kg 20週間,第3群 媒体およNTA:83.5 mg/kg 20週間,Fe: 5 mg/kg12週間の腹腔内1日1回,週5回の反復投与が終了し,腹膜中皮腫の形成を待つ状態となっており,今年度5月から本格的解析に入る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は主として腹膜中皮腫を作製するためのラットの飼育に対して研究費が投入され、研究費余剰金が生じた。今年度より本格的な広範囲な検討が開始されるため、前年度の余剰金と本年度の研究費は研究を完遂するために必須である。 生後20か月で,ラットをsacrificeし,腹膜中皮腫を摘出する。1/3は岡山大学地球物質科学研究センターに送付し,1/3はホルマリン処置後パラフィン包埋(組織学検討用),1/3は凍結保存(分子生物学的検討用)する。プリミティブマントル正規化微量原素パターンの解析作製されたラット中皮腫(生後約80-100週)の含鉄蛋白質小体を含む腹膜中皮腫組織のプリミティブマントル正規化微量原素パターンの解析を行う。これらの解析は中村らの方法(Accumulation of radium in ferruginous protein bodies formed in lung tissue: association of resulting radiation hotspots with malignant mesothelioma and other malignancies. Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci 85. 2009;229-39)により,元素の定量分析を行い,含鉄蛋白質内のラジウムを測定する。鉱物元素の解析は岡山大学地球物質科学研究センター中村栄三教授のもとで行われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の余剰金と本年度の研究費を合わせた申請経費の主要部分は実験にかかわる試薬・消耗品,動物代,動物実験室施設維持・管理費,研究調査費,成果発表費である。試薬類[QIAmp DNA ミニキット,Taq DNA polymerase,Big Dye Terminator v.3.1 Cycle Sequencingキット,PCR試薬,ダイターミネター,免疫組織染色およびWestern blottingの抗体(γH2AX,RAD51,superoxide dismutase,EGFR,AKT,MAPK,PTEN,mTOR,MET,IGF-1R,p16, p21,Merlin,VEGF,VEGFR,CD31)Dako K0679 LSABキット 1キット,Dakoヘマトキシリン500mL ,β-Actin抗体100μL,Precision Plus デュアルスタンダード1本,Anti-EGFR抗体100μL phosphoEGFR(Tyr1068)抗体100μL,pEGFR 抗体(Ser1071) 1本 ,p44/42 MAPK抗体 200μL,phospho-Akt(Ser473)抗体 100μL ,抗Flt-4(VEGF-R3)抗体 1本 ,Rabbit抗VEGFR2/KDR抗体 100μL ,Caspase 3 Active Form-FITC 100 test,Biotin 抗mouse CD31(eBio) 500μg,抗rabbit 2次抗体 1本 ,抗mouse 2次抗体 1本,レディゲルJ 5-15% 10枚入 12 well 20枚,ブロッキングワンP 200mL ,Mini Trans-Blot Filter-Paper 100枚]として請求する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Aberrant DNA methylation profile in pleural fluid for differential diagnosis of malignant pleural mesothelioma.2012
Author(s)
Fujii M, Fujimoto N, Hiraki A, Gemba K, Aoe K, Umemura S, Katayama H, Takigawa N, Kiura K, Tanimoto M, Kishimoto T.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 103
Pages: 510-514
DOI
Peer Reviewed
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