2011 Fiscal Year Research-status Report
軽微な線維化肺を用いた網羅的遺伝子発現解析による特発性肺線維症の病態・病因解明
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23659436
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
棟方 充 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00209991)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 特発性肺線維症 / 網羅的遺伝子解析 / 肺組織 / 肺癌 / 正常肺 |
Research Abstract |
本年度は、まず、本研究について本学倫理委員会での承認を得、更に、UMINへの登録を終了した。この上で、2007年~2010年に集積され、すでに32,000の網羅的遺伝子解析が終了している肺癌患者の検討を行った。この内、非癌部分の正常と思われる組織についての遺伝子発現解析も行っている121例の解析を行った。呼吸器内科専門医3名で、再度この121例の画像・呼吸機能・血液検査等の臨床データを詳細に解析し、さらに、癌組織周囲の非癌肺組織所見を参考にしてIPF疑い例7例を抽出した。また同様に、年齢・性別・喫煙歴等を合致させた正常肺症例19例を抽出した。両群での32,000の遺伝子発現を比較検討した結果、有意な発現亢進遺伝子あるいは発現抑制遺伝子が認められた25の遺伝子を選別した。これらの遺伝子の中には、すでにIPF病態に重要な関与をすると報告されているOsteopontinやCaveolin-1などの遺伝子が含まれていた。 現在、残りの遺伝子に関し、文献検索などを行い、その機能を明らかにすると共に、IPF病態への関与の可能性についての検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は、遺伝子解析が終了いている121例の肺癌患者手術肺、非癌部分での遺伝子解析を行い、7例のIPF患者と19例の健常肺患者との比較から、有意に発現亢進ないし抑制されている25の遺伝子を抽出できた。これらの遺伝子の中には、既にIPFにおいて重要な役割を果たすと報告されている遺伝子が複数子含まれており、研究戦略の妥当性が証明された。このため、研究は、当初計画以上に進展している考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年の研究成果から、既に、軽微なIPF患者肺に於いて発現が有意に変化している25の遺伝子が判明し、更に、その中に既にIPFにおいて重要な役割を果たすと報告されている遺伝子が複数子含まれていた。このため、残りの遺伝子について、更に詳細な文献的検討を行い、IPFの原因遺伝子候補となりうる新規の遺伝子を数個選別し、それら遺伝子に関する個別的な検討を行うべきと考えている。次年度は、これらの遺伝子に関して、まず、PCR法により発現の亢進ないし抑制を確認、その後、IPF患者肺、血清、肺胞洗浄液(BALF)にての遺伝子産物(蛋白)に関する検討を行い、その臨床的意義を検討する。 この他、日々、新たな症例の集積を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
IPF原因候補遺伝子について、PCR法により発現の亢進ないし抑制を確認、その後、IPF患者肺、血清、肺胞洗浄液(BALF)にての遺伝子産物(蛋白)に関する検討を行うため、プローブ、免疫染色、免疫沈降などに要する抗体、その他実験器具等に経費を使用したい。また、本年度の成果を報告するために学会旅費としても一部の研究費を使用する予定である。
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