2012 Fiscal Year Research-status Report
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23659441
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 講師 (00463969)
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Keywords | IgA腎症 / エクソーム解析 / SNP / 糖鎖不全 |
Research Abstract |
腎生検でIgA腎症と確定診断された症例が複数存在する12家系(発症者32名、非発症者28名、不明23名)を対象にし、Affymetrix Human Genome-Wide SNP Array 6.0によりSNPタイピングを行い、SNP HiTLinkを用いてゲノムワイド連鎖解析(mlink & allegro)を行った。パラメトリック解析では、1p36にHLOD 1.93、12q21にHLOD 1.68を示し、ノンパラメトリック解析では1p36にNPL 3.13、5p14にNPL 3.18を示し、複数のピークが検出されることから家族性IgA腎症には遺伝的な異質性が存在すると考えられ、今回のエクソーム解析はこのローカス異質性を支持する結果となっている。 それぞれの家系においてエクソーム解析で得られた候補遺伝子変異について、IgA分子の動態からみて興味深い知見が得られている。ある家系については、候補遺伝子変異リストの中で、アミノ酸置換の影響が最も大きいearly endosome antigen 1 (EEA1) p.F161Yのみが家系内でco-segregationが認められ、さらに上記の連鎖解析での最大LOD領域と一致した。EEA1は細胞内の初期エンドゾームに結合し、エンドゾーム輸送の選別・効率化に関係している。粘膜免疫においては分泌されたIgAと多価Ig受容体が結合し、細胞内に取り込まれ、その際のエンドゾーム輸送にEEA1が関与している。また、他の家系のエクソーム解析から得られた候補遺伝子変異リストの中では、アミノ酸置換の影響が最も大きいWSB-1遺伝子がIL-21受容体結合蛋白であり、IL-21によるB細胞のIgクラススイッチに関与することが示唆されている。これらの遺伝子変異がIgA腎症の発症に関与する可能性は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
家族性IgA腎症の原因遺伝子変異を同定するために、家族性IgA腎症家系を用いてエクソーム解析を行っている。現在までに、腎生検でIgA腎症と診断された罹患者4名を有する家系のエクソーム解析が終了し、候補として12遺伝子変異がリストアップされた。さらに、昨年度のゲノム支援により、他の2家系を対象としてエクソーム解析が行われた。検尿異常は認められるが、腎生検で確定診断されていない症例は罹患情報をunknownとして絞り込みを行い、候補遺伝子変異は、ある一つの家系で35変異が、他の家系で41変異が検出された。しかし、これら3家系で共通する遺伝子は認められず、それぞれの家系の遺伝背景は異なっていると解釈された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた研究結果に加え、期間内に以下を行い、連鎖解析および大量シークエンス解析により家族性IgA腎症の責任遺伝子を同定することを目標とする。(1) 家族性IgA腎症のリソース収集をさらに進める。既に約30家系を収集しているが、さらに多数の家系を収集し、解析の精度を高める。(2) 家族性IgA腎症の糖鎖不全IgAの病態を明らかにする。IgA腎症には多様な病態が混在し、遺伝的には異なる背景のために連鎖解析の検出力が低下する可能性もある。近年、孤発性IgA腎症では糖鎖不全IgAの関与を示す複数の報告がみられるが、家族性IgA腎症においても糖鎖不全IgAが遺伝的に決定されているとする報告がある。本研究では糖鎖不全IgAが家族性IgA腎症の内因性の表現型となり得るか、以下の項目で詳細に検討する。a. 糖鎖不全IgAの測定、b. 末梢血でのIgA1産生Bリンパ球の比率、c. 糖鎖不全IgAに対するIgG自己抗体(3) 家族性IgA腎症の表現型に注意しながら全ゲノム連鎖解析を行う。既に連鎖解析を行っているが、上記の糖鎖不全IgAを参考にしながら解析を進める。また大規模家系を対象にして、ホモ接合ハプロタイプ法により原因遺伝子座を含む同祖領域を探索する。(4) 全ゲノム連鎖解析およびホモ接合ハプロタイプ法の結果からターゲット・リシークエンス解析を行う。特に両解析方法で共通の候補領域において、エクソンキャプチャー法により遺伝子のエクソン領域を濃縮し、大規模リシークエンス解析を行い、遺伝子変異を検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の殆どは生体試料の抽出と保存、エクソームシークエンスのための検体処理必要な消耗品のために使用する。 その他に、論文作成に必要な校正費、印刷費を計上する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Geographic differences in genetic susceptibility to IgA nephropathy: GWAS replication study and geospatial risk analysis.2012
Author(s)
Kiryluk K, Li Y, Rohanizadegan M, Suzuki H, Eitner F, Narita I, Floege J, Stengel B, Zhang H, Lifton RP, Gharavi AG.
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Journal Title
PLoS Genet
Volume: 8
Pages: e1002765
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Significance of urinary full-length and ectodomain forms of megalin in patients with type 2 diabetes.2012
Author(s)
Ogasawara S, Hosojima M, Kaseda R, Kabasawa H, Yamamoto-Kabasawa K, Kurosawa H, Sato H, Iino N, Takeda T, Suzuki Y, Narita I, Yamagata K, Tomino Y, Gejyo F, Hirayama Y, Sekine S, Saito A.
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Journal Title
Diabetes Care
Volume: 35
Pages: 1112-1118
DOI
Peer Reviewed
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