2011 Fiscal Year Annual Research Report
PrP129Val/Val遺伝子をもつvCJD患者の迅速確定診断法の樹立
Project/Area Number |
23659451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北本 哲之 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20192560)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | vCJD / プリオン / ウシ型ノックインマウス / FDC |
Research Abstract |
この研究は、vCJDプリオンのヒトに対する感染実験を行った結果、非常に鋭敏な頭蓋内投与実験では従来vCJD感染に抵抗性と考えられていたコドン129Val/Valの遺伝子型が抵抗性はしめすものの、完全ではなくvCJDプリオンに感染することが明らかとなったから行った研究である。臨床的にも、129Met/Metのヒトと異なり、129Met/Valの症例はsCJDとの鑑別が困難でLancet誌上でも、1つの症例をvCJDと診断するかどうか意見が分かれているのが現実である。まして129Val/ValのヒトがvCJDを発病したら、いまの所多種類のマウスを用いた感染実験を行いBSEと同様の感染性を示すこと以外確定診断は不可能である。しかしながら、この確定診断には3年間におよぶ感染実験が必要であり1例の確定診断としては非現実的である。この研究では、vCJDを発病したマウスの脳を用いて、もともとBSEやvCJDプリオンで保有していたウシへの易感染性が存在するのかを検討する研究であった。この研究の目指したとおり、vCJDを発病した129Val/Valの脳は、用いた3匹の脳全てでKi-Bov(ウシPrPを導入したノックインマウス)への感染性を示し、FDCを用いた感染では75日間で十分評価できることが明らかとなった。また、ヒトのsCJDのプリオンでは、129Met/Valの遺伝子型をもとうが、129Val/Valの遺伝子型をもとうが、Ki-Bovへの感染性は示さなかった。FDCを用いたこの結果は、頭蓋内投与による感染実験の結果とも一致していた。本研究は、申請時に予想したように129Val/ValのvCJD患者の確定診断をもたらす方法を開発でき、その期間は従来法の3年間を大幅に短縮する75日間であった。
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