2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト神経系不死化細胞株の網羅的樹立と三次元モデル構成の試み
Project/Area Number |
23659457
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
神田 隆 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40204797)
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Keywords | 神経細胞学 / 神経免疫学 / 血液脊髄関門 / 不死化細胞株 / 内皮細胞 / 血管周細胞 |
Research Abstract |
研究成果:ヒト骨格筋由来微小血管内皮細胞、微小血由来管周細胞の不死化細胞株が樹立できた(平成23年度)。ヒト脊髄微小血管由来内皮細胞、微小血管由来周細胞の不死化細胞株が樹立できた(平成24年度)。 意義と重要性:中枢神経系・末梢神経系は神経細胞とその軸索のみで構成されているわけではない。神経膠細胞、ミクログリア、オリゴデンドログリアの他、神経系の内部環境維持に関与するバリアー構成細胞(微小血管内皮細胞と血管周細胞)、脈絡叢上皮細胞、上衣細胞、髄膜細胞なども神経系の重要なプレイヤーであり、それぞれの細胞の機能異常は重大な神経学的問題を引き起こす。これらの神経系構成細胞の機能を制御して難治性神経疾患の根本的治療を目指す、という戦略を立てた場合、それぞれの細胞の分子特性が十分に理解されているという大前提がクリアされる必要があるが、汎用性が高く、かつ元細胞の形質を完全に保持した優れたヒト神経系不死化培養細胞株は、その技術的困難から国内外とも殆ど確立されていないのが現状である。本研究の第1の目的は、主任研究者の確立した温度感受性SV40 large T抗原およびヒトテロメラーゼ遺伝子を導入するヒト不死化細胞株作製技術を更に発展させ、神経細胞を除くヒト中枢神経系・末梢神経系構成細胞の不死化細胞株を網羅的に作製し、個々の細胞の生物学的特性を把握する基盤を整備することである。細胞種によっては単離・不死化操作が極端に困難で未だ株化に至っていないものも多数残っており、網羅的な樹立にはまだ時間が必要であるが、2年間の研究期間のうちに上記の成果を得ることができた。ヒト脊髄バリアー由来細胞については、その詳細な形質解析を記載した論文が現在審査中(Clin Exp Neuroimmunol)である。
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